御巣鷹山(小黒姫)の薮で敗退「黒姫山」 登山日2007年10月21日



火口原の笹原



黒姫山(くろひめやま)標高2053m 長野県上水内郡



コスモス園のダリアと黒姫山ゲレンデを登る
小布施町付近を振り返る




先月、小布施を散策したときに、小布施駅から見た北信五岳(飯縄山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山)が気になった。今月、飯縄山に登っているので未登は黒姫山と斑尾山の2座となった。紅葉の時期に登りたいと思っていたから、標高を考えて黒姫山に向かうことにした。地形図を見ると、黒姫山の最高点は外輪山であり、コニーデ型の小黒姫は標高が10メートルほど低いが、魅力的な形をしている。できれば、この小黒姫に登りたいと考えた。

10月21日(日)

信濃町ICから、標識に従って黒姫高原コスモス園に向かう。コスモス園の駐車場でちょっと迷う。それは登山者の方は下の町営駐車場に駐車しろと書いてある。それは良いとしてもどこから登るんだろう。とりあえず、コスモス園の下にある町営駐車場に向かい、支度をすることにする。広い駐車場は閑散としていて、一台の車で二人の女性が山歩きの支度をしていた。そして彼女らは私よりも先に出発していった。なんだかんだと準備に時間を費やして、やっと6時前に出発することが出来た。

駐車場から土手を登り上げると、すぐにコスモス園の駐車場だ。そこを横断して、ゲート前にやってくると。先行者が、園内に続く車道のゲートを開けて入っていくところだった。ゲートは紐で簡単に縛ってあるだけだったので、全く問題はなかった。看板を見るとコスモス園の開園日は今日までとなっていた。それが証拠に園内のコスモスはほとんどが枯れてしまい、とても鑑賞出来るものではなかった。その代わりなのだろうが、その一角のわずかな場所に大輪のダリアが今を盛りに咲き誇っていた。

コスモス園内と言っても、ここはあきらかに黒姫スキー場である。ゲレンデが上部に向かって延びており、そのゲレンデは紅葉の帯となって続いていた。ゲレンデの中には先行する二組のパーティーが登っているのが見える。見れば、ゲレンデ内のジグザグに付けられた管理道路を忠実に登っている。それよりもゲレンデを直登したほうが距離が短いと思われる。傾斜はきついがこの直登ルートを辿ることにした。案の定、そのパーティーを追い越すことになった。


望湖台で記念撮影
ススキの原野尻湖と斑尾山



パノラマリフト(夏山リフト)の終点は望湖台と呼ばれる台地だった。パノラマリフトは8時半からの営業なので、黒姫山に登るために使うには時間が遅い感じだ。この望湖台は、野尻湖を望むことから付けられたのだろう。その野尻湖の先には未登の斑尾山が取り囲むように、朝陽の中で霞んでいた。この望湖台には、望遠鏡、展望板、コスモスのキャラクターが設置してあった。しかし、これはコスモス園の開園中のみで、下山時には撤去されていた。また、シーズンオフとなればここまで車で乗り入れることも可能と聞いた。そうすれば、30分近く時間が短縮されるわけだ。望湖台で時間を過ごしていたら、追い越したはずのひとつのパーティーに追い抜かれてしまった。焦るわけではないが、あまり長居は出来ないので、こちらも出発することにする。

望湖台からは登山道がハッキリしてくる。それに沿って急斜面をゆっくりと登っていく。まもなく、今は運転を止めているらしいが、第6リフト乗り場に到着する。ここで、先ほどの男性2名のパーティーを追い抜いた。疲れもないので、このまま先を進むことにする。しばらくは黄葉のブナ林の中を歩き、使われなくなって灌木が大きくなってきたゲレンデ内を歩くことになる。ここからの展望は素晴らしく、何度も何度も振り返って野反湖方面を眺めた。ふと、下を見ると単独行の男性が登ってきた。そしてついに私に追いついてしまった。年齢は私よりも5歳ほど上だろう。すれ違いざまに言葉を交わした。なんでも栃木市から来ており、大平山に毎日登っているという。どうりで早いわけで、あっという間に視界から消えていった。第6リフト降場を右に見送って樹林の中にはいるとすぐに姫見台に着いた。ここには大きなケルンがあり、周囲は露土になっていた。目前の黒姫山が大きく見えるが標高差はまだ500m程度ある。


姫見台のケルン姫見台から山頂を見る
スギヒラタケ



姫見台からは直接黒姫山に登れば良いのだが、登山道はなぜか大きく右に迂回している。展望のない樹林帯をほぼ水平に近い状態で続く道は、うんざいりするほど退屈である。倒木あり、大きな岩がありで、かなり歩き難く、暑い季節などはかなりきついだろう。倒木にはスギヒラタケが密生していたので、触れてみると凍って堅くなっていた。このスギヒラタケはいたるところに見られたが、中毒のおそれがあるためか、採取されないようだ。やがてちょっと拓けた場所にたどり着く。越見尾根の標識があったが。あまり尾根という感じはしない。地形図を見てもあまり顕著な尾根ではないことがわかる。この地点はちょっと広くなっていて、先ほど追い越された栃木市の男性が休んでいた。ここを下山したら、斑尾山も登ると言っている。とても太刀打ちできる御仁ではないことがわかった。その男性は一足先に出かけていった。いままで、横に歩いていた道は、ここから上部に向かって黒姫乗越まで標高差250mを一気に登ることになる。


黒姫乗越うっすらと雪化粧



今までの青空は消えて空は鉛色になってきた。それとともに気温も下がり、風も強くなってきた。Tシャツではきつくなってきたので、長袖のカッターシャツに着替えた。この越見尾根の道はかなりきつく、途中でたまらず立ち止まって一息ついてしまった。なんとか黒姫乗越につく頃にはちょっと顎が上がってしまった。この黒姫乗越からは植生が一変して、針葉樹の森となった。吹き抜ける風が冷たく毛糸の帽子を被ることにした。この黒姫乗越からは、直接外輪山の山頂に至る道と、火口原に至る道に分岐する。小黒姫に登る都合もあることから、まずは外輪山の山頂に向かうことにする。登山者は少なくないと思われるのだが、意外と道形は薄く途切れるようなところもある。この小泉登山道は人気がない事もあるのだろう。大半は時間短縮が可能な大橋登山道を利用するのだと思う。ほぼ水平に近い道は意外と長い。それもそのはずで、標高差100mに対して距離は1500mもあるのだ。針葉樹に囲まれたこの尾根からは、小黒姫が右に、左には妙高山が樹林越に見えている。それにしても寒く、クマザサの上にはうっすらと雪が乗り、水の雫が落ちる岩場はツララとなって、寒さを強調していた。やがて、表登山道の道と合流して、10分ほど歩くと一気に展望が拓けて、黒姫山の山頂に飛び出した。


山頂稜線から峰の大池を俯瞰。後方は高妻山戸隠牧場付近
黒姫山山頂高妻山と後方は白馬岳



黒姫山の山頂は裸地となっており、その中心に大きな台座を持った石祠が奉納されていた。またその傍らには大きな山頂方位板が立てかけてあった。かつてはこの方位板は何処かに設置されていたものなのだろう。三角点は見つからなかったので、後日「点の記」で調べてみるとここにあるはずの二等三角点は停止【亡失】とあった。山頂には栃木市の男性が休んでいた。なんだかんだと話しながら、山座同定をしながら時間を過ごした。確かに展望は素晴らしく、近くの斑尾山、志賀の山々、飯縄山、戸隠山、高妻山、白銀の北アルプス槍ヶ岳から白馬あたり、遠く富士山も望むことが出来る。また近くにあるコニーデ型の小黒姫は秀麗で優しそうだ。またその麓の火口原には峰の大池が青空を映して美しい。

さて、これから火口原に降りることにする。しかし、地形図の破線の表記では山頂からいきなり下降するようになっているが、どうもこの道は無いようだ(廃道かも知れない)。しばらくは新道沿いに進み、そのあと下降する道に入る。あまり歩きやすいとは言えない道をどんどん下降すると、20分ほどで峰の大池に到着した。風があるために湖面にはさざ波が立っていたが、小黒姫の美しい姿との対比は絵になる光景だった。この付近の紅葉はすでに終わりを迎えており、広葉樹の枝が白く浮き出て見えていた。ここで、登山口で追い越した女性2名のパーティーと逢った。賑やかそうなので、早々にこの場を辞して七ツ池に向かうことにする。その途中、小黒姫に上る道を探して薮に入ってみたが、とても踏み込めるようなものではない。しかたなく、次の場所を見つけながら先に進むと、広大な笹原が現れた。笹原の中には大きな石が点在して、日本庭園のようだ。その先には七ツ池が見えている。人工的でない、自然の力による石と池の配置の妙は無駄がない美しさを感じた。


峰の大池と御巣鷹山七ツ池と黒姫山(山頂からの崩落が見られる)



七ツ池についてみると、その水は流れがあり、飲料としても通用するものだと感じた。時間はまだ11時だ、小黒姫に向かってルートを探してみよう。この笹原を過ぎたところから入ってみる。なにやら赤テープも見られる。笹が薄いところから踏み込んでみるが、しばらくすると身の丈を越す笹に遮られてしまった。横に逃げてルートを探すが、身の丈を越す笹は途切れない。しばらく挑戦してみたが無駄だった。今度は、戻って七ツ池から直接登る道を探してみた。ところがこちらは灌木が密生して、身体を入れる場所がない、さらにその先は笹藪が控えているので駄目だ。断念して振り返ると、黒姫山が青空の中に浮かんでこちらに対峙していた。みれば、黒姫山山頂から一気に山肌が削られている。これは地形図に表記された、登山道なのかも知れない。崩落によって廃道となった道なのかも知れない。

しばらく諦めきれなかったが、結局は断念して七ツ池の笹原に陣取って、ラーメンと日本酒の豪華な昼食とした。風は心地良く、眼前に立ちふさがる小黒姫は、大きく大きく見えていた。



町営駐車場05:56--(.05)--06:01コスモス園入口--(.27)--06:28望湖台--(.27)--06:55リフト乗場--(.52)--07:47姫見台--(.33)--08:20越見尾根08:30--(.31)--09:01黒姫乗越--(.41)--09:42表登山道分岐--(.12)--09:54黒姫山山頂10:09--(.11)--10:20峰の大池分岐--(.20)--10:40峰の大池--(.11)--10:51七ツ池12:21--(.59)--13:20黒姫乗越--(1.09)--14:29リフト乗場14:46--(.32)--15:18町営駐車場


群馬山岳移動通信/2007




この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)