表万座スキー場から「米無山」「本白根山」
登山日2000年10月7日


米無山(こめなしやま)標高1871m 群馬県吾妻郡

弓池付近
10月7日(土)

 前から気になっていた表万座スキー場の米無山に登ることにした。何しろスキーシーズン中は登るわけにもいかないので、この紅葉の季節を待っていた訳だ。

 当然「万座ハイウェイ」は通過すると料金がかかるので、志賀草津道路経由で万座まで行くことにする。途中の紅葉の様子を眺めるのも楽しみになるから、一石二鳥だ。早朝にも関わらず弓池付近はカメラマンが、三脚を立ててしきりにアングルを捜していた。私もちょっと車から降りて、デジカメで一枚シャッターを押した。

 さらに、万座温泉付近では風情のある風景に出くわしたので、ここでも途中下車となった。

 さて、嬬恋牧場のドライブインに車を止めて、道を挟んだ表万座スキー場の中に足を踏み入れる。当然入り口には柵があり、車両は中には入れない。標識は車両進入禁止と書いてあり、歩行者は進入禁止とは書いてない。勝手な屁理屈でスキー場の中に通じる舗装路を歩くとそのうちに大きな看板が目に入った。「嬬恋牧場本白根山歩道」と書いてあるではないか。これならばビクビクしながら歩くことはない。堂々と道の真ん中を歩いて良いわけだ。するとタイミング良く下から車が2台上ってきて、脇を過ぎて通り抜けていった。おそらくシーズン前の整備の為の作業する人だと思った。

 やがて、道は大駐車場に到着、一台の車も無い広大な土地でおまけに草が一本も生えていない。これはすごいと、休日就農者は思った。ともかくここから、米無山にむけて登りが始まるわけだ。

 建物の左を抜けてゲレンデの中に入る。ところがここは草があるのであまり歩きやすいとは言えない。すぐにゲレンデを横切って、反対側の作業のための未舗装の車道に入った。やはり登りはこちらの方が楽である。忠実に車道を登りあげると、見る見るうちに高度が上がっていく。振り返ると四阿山あたりが大きく背後に迫っていた。おそらくこの絶好の天気の中で、百名山であるあの山は人混みが凄いのではないかと思った。それに引き替えこの山のなんと静かなことか。
カモシカ
 道はやがてリフトの中継地点に出た。道は右に向かい大きな建物に向かっている。しかし高いところを目指すには、このままゲレンデ沿いに直登したほうが良いと思われる。そこでちょっと歩きにくいが、ゲレンデに足を踏み入れた。しばらく登ったが、どうも右の方の高い場所が気になる。どうやらそちらの方が米無山であるらしい。適当なところで再び方向修正して右に向かうと、すぐに先ほど歩いてきた車道の延長と思われる道に出た。

 このままほぼ水平に道を辿ると、再びリフトの中継点が現れた。そして、道を挟んだ反対側の一段高い場所がどうやら山頂らしい。そこに向かって登りはじめると、カモシカがじっとこちらを見下ろしていた。久しぶりに見るカモシカで、しばらくぶりの再会に思わずカメラを向けた。

 米無山の山頂は東側が切れ落ちていて、眼下には石津硫黄鉱山跡が望める。また周囲の展望は最高で赤城、榛名、浅間、四阿が一望に目の前に広がっていた。ここで無線機のスイッチを入れるとKXW/渋沢さんの声が聞こえた。早速交信して、久しぶりに御大の元気な声と話をすることが出来た。
米無山山頂
 ふと気づくと、周辺はクロマメノキの黒い実がいっぱいあるではないか。これは早速おみやげにしようと、時間を忘れて摘み取った。なにしろ標高2000mの秋の味覚である、帰ってからの楽しみが増えることになった。

 そんな時間を過ごしたが、まだ午前10時である。持参したビールを呑むには汗もかいていないし時間も早い。再び地形図を見ると、目の前の本白根山が気になってきた。何しろ目の前のゲレンデをちょっと登るだけで本白根山の山頂で、標高差にして300mほどである。そこで、意を決して途中撤退も覚悟してそちらに向かうことにした。

 目の前のゲレンデは目に付くのでちょっと遠慮して、さらに奥に入ったゲレンデを登りはじめた。かなりの急傾斜で、たちまち背中が汗で濡れてきた。しかし、乾燥した空気に助けられて、さほど苦痛は感じない。むしろ汗がさわやかな感じさえ受ける。はじめは刈り払いがされたゲレンデなのだが、標高2000mの地点で刈り払いが途切れてしまった。おそらくここから先は急傾斜で草刈り機が入っていかないのだろう。

 膝程度の高さの草を踏みつけて急傾斜を登ると、さすがに疲れが出てきた。ところがここでなんと右に先ほどのゲレンデが山頂で会うように合流した。そちらの方が傾斜が緩やかで、歩きやすそうなのでトラバースしてそちらに移った。ここにもリフトの中継点があり、さらに上部に向かって歩いた。するとこの表万座スキー場の、最高標高地点2130mのリフトの地点にたどり着いた。
米無山を見下ろす
 ここからの展望は絶景で、先ほどの米無山は小さく眼下にかすんでいた。目を周囲に見渡せば青空の中に上信越の山が一望できる。ここで昼食とするのも良いが、本白根山の山頂を一旦踏んでおかないと気が済まない。ましてここには標識があり「本白根山0.3k」と書いてある。

 標識の先は身の丈以上の笹が刈り払われて、しっかりとした道になっていた。時折、刈り切れなかったハイマツがちょっと歩くのに煩わしい。それでもリフト最高点から10分あまりで三角点の山頂にたどり着いた。

 山頂には既に髭をたくわえた男性がひとりでくつろいでいた。ザックに仕舞った無線機が山頂に着いたことで、急に騒がしくなったので迷惑を考え慌ててスイッチを切った。軽く会釈をして標高2164.8mの三角点を確認した。ところが地形図を見るとどうも、この三角点は本白根山の山頂としては無理があるようだ。試しにGPSで確認すると三角点の位置は地形図での位置とは変わっていない。標識は私製のものが一枚「草津白根山2171m」とあり、傍には細い字でそれを消すように2164.8mを書き込みも見えた。ちょっと混乱して来たのでこれは帰ってからの宿題とした。

 山頂にい男性にカメラのシャッターをお願いして、記念写真に収まった。ところがこの男性どうも見覚えがある。
「ホームページを開設していますか?」
相手が頷くと同時に手を伸ばして握手を求めてしまった。それはインターネットで「えーさんの山頂ヒュッテ(週間やま)」のホームページを開設している方でした。何度かE−MAILのやりとりをしているので、話が弾んでしまいました。ここで缶ビールを開けて心地よい会話と、流した汗の水分を補給しました。えーさんはこれからまだ歩くところがあるらしく、なにか引き留めていろいろしゃべりまくってしまい、ちょっと迷惑だったかなと、あとから反省をしてしまいました。

 そのうちに、新潟県の三条から来た単独行の男性がここに到着。この場所を明け渡してえーさんとは別れた。

 山頂は笹藪で展望も悪いので、リフトの最高地点まで戻り昼食にしてゆっくりと時間を過ごした。

 帰りはゲレンデを一気に下り、1時間もかからずに車に到着してしまいました。そして、再び料金を払うのがもったいないので、紅葉が真っ盛りの草津白根道路を登り帰りました。


「記録」

スキー場入り口07:48--(.21)--08:09スキー場駐車場--(.47)--08:56米無山山頂10:09--(.45)--10:54リフト最高地点--(.09)--11:05本白根山11:49--(.06)--11:55リフト最高点12:35--(.31)--13:06駐車場--(.18)--13:24スキー場入り口



国土地理院の「日本の主な山岳標高」では、本白根山々頂は2171m標高点(N36°37′11″ E138°32′06″)となっています。従って三角点の場所は、山頂になっていません。確かに地形図で確認すると、三角点の場所は本白根山の記載の場所からはかなり離れています。確認のために現地でGPSで測定しましたが、三角点の場所は2164.8mに間違いありません。山頂にあったハングル文字が併記された標識には2171mと書いてありました。これはやはり「三角点=山頂=最高地点」の誤った認識が生んだ結果と言うことでしょう。



クロマメノキのジャム

今回取ってきたクロマメノキの実をジャムにしてみました。
(料理の専門家が見たら怒られそうですが)

1.余分なゴミなどを取り除き、水洗いして水を切ります。
2.クロマメノキの実の半分の量の砂糖を入れて適当に混ぜ合わせます。
3.電子レンジで「強」の設定でラップはしないで10分間加熱します。
(10分間の加熱中は時折取り出して混ぜ合わせます)
4.最後にちょっとだけレモン汁を入れます。
(無くても大丈夫)
5.無添加なので早めに食する。
(砂糖が多ければそれなりの保存も出来そうだが、肥満の原因になりそう)

*クロマメノキの実は、最近ミヤマモンキチョウの産卵する木として保護されている場所があります。採取には十分な注意が必要です。






群馬山岳移動通信 /2000/