病み上がりで登った「唐沢山(金精峠)   登山日2004年4月29日

唐沢山から見る奥白根山、錫が岳、笠ヶ岳

唐沢山(からさわやま)標高1787m 群馬県利根郡

退院してから約一ヶ月が過ぎたが、やはり体力の衰えは否めない。天候によっては傷口がチクチクと痛むことがある。まだまだ本調子ではないのか、これが本調子なのか不明なところがある。ともかく身体を動かすことによって、着実に良くなっていることは確実なようだ。山への想いは衰えず、この残雪の季節に、ひとつだけでも登っておこうと考えていた。

4月29日(祝)

 丸沼ペンション村に入り、まっすぐ進むと林道のゲートに突き当たる。ここが今日の出発地点だ。ゲート前の広くなったところに軽トラックを駐車した。自宅から軽トラックで2時間と言うのはちょっと辛いものがあるが、その気軽さから山歩きには離すことが出来なくなっている。

 ゲート前で朝食を摂ることにする。犬の散歩の人が怪訝な顔でこちらを見ながら通り過ぎた。こんな時間にこんな所に人が居るのは、ちょっと怪しいのかも知れない。山を見ると雪はすっかり消えており、薮こぎが心配されるが、ともかく行けるところまで行ってみようと考えた。

 林道を歩き始めるとすぐに丸沼から派生した、大滝川に架かる桂橋を渡る。林道は荒れた様子も無く、なだらかに登っていく。地形図で見て大きくヘアピンカーブで曲がるところがある。今日の登りはじめはこの地点で、あらかじめGPSに登録してきたが、位置を確かめるほどのものではなく、すぐにその場所はわかった。

 ヘアピンカーブから目の前に見えている尾根に登り上げる。なかなかの急斜面で息がかなり上がってしまう。時間的にはわずかな時間で尾根に登り上げた。ここには帰りのことを考えて巻紙のマーキングを念入りに巻き付けておいた。さあ、ここでコンパスを取り出してこの尾根が北に曲がる標高1580m地点に向けてセットした。

 やはり薮山のルート選択には、2.5万地形図(緯度経度記入したもの)、GPS、シルバコンパス、巻紙の4点がどうしても必要だ。特にコンパスはGPSがあったにしろ簡易的に方向を見るのに必要。巻紙(トイレットペーパー)は帰りのことを考えて木の枝に付けていく。回収も簡単であるし、回収しなくとも雨で溶けて無くなってしまう。

 尾根は痩せているのだが、立木が多いためかあまり恐怖心はない。笹藪は思ったほど深くはなく、なんとか尾根のルートを確認できるほどだ。方向は北西に向かってまっすぐに伸びている。時折、鹿の糞が見つかるが、その存在はあまり多くなさそうだ。コメツガの鬱蒼とした尾根をひたすら登っていく。
笹藪に阻まれた昨日雪が降ったのであろう

 ダケカンバが多くなり、笹の丈が短くなったところが、どうやら1580m地点であるようだ。ここでコンパスを北に向けてセットした。尾根は若干広くなった感じがするが、明瞭であることに間違いはない。昨日降ったものだろうか、熊笹に薄く雪が積もっていた。ここで初めて荷造り紐のマーキングを見つけた。マーキングは後にも先にもこれだけだった。

 1600m付近から笹藪が深くなってきた。こんな時は思い切ってまっすぐ飛び込むのにかぎる。躊躇してトラバスしようと考えると、よけいな労力を必要とすることがある。このあたりも帰りのことを考えて、巻紙のマーキングは細かく付けておいた。

 1700m近くから残雪が増えてきた。うるさい笹藪が少なくなり、場所を選べば快適に登ることが出来る。振り返ると樹林の隙間から丸沼スキー場が見えている。雪の量はさほど多くなく、GWが終われば閉鎖となるだろう。
鞍部は明るい林だった
 やがて右からの尾根が近づいてきて、1858mのピークが近いことが感じられる。ここに来て雪がかなり締まって、滑りやすくなってきた。この分で行くと、帰りはアイゼンが必要と感じた。なんとかキックステップで登り上げると、展望の無い1858mのピークに到着することが出来た。

 ピークは展望はもちろんさしたる変化もなく、全く表現に乏しい場所だった。しかし、ここまで休憩を取っていなかったので、腰を下ろして休むことにした。やはり手術痕はあまり調子が良いとは言えない。時折チクチクと痛みが走るが、これが完全に回復するものでもなさそうなので、まあ諦めるしかないだろう。

 休憩後、いよいよ唐沢山に向かって出発だ。目指す山頂は樹林阻まれて見えないが、稜線の先にあるはずである。稜線は倒木や笹が濃いので、右側を選んで歩くことにした。もったいないほど下って、コルに着くことが出来た。地形図を見れば100mも高度を下げてしまったことになる。帰りのことを考えるとちょっと憂鬱になってしまう。しかし、この鞍部は樹林が疎らで展望が拓けて、奥白根山方面がスカッと見えた。こうなると最後の唐沢山のピークへの登りは気分的に良くなってくる。

 やがて顕著なピークに到達した。ここからは奥白根山、錫ヶ岳、笠ヶ岳のパノラマが青空のなかで広がっていた。スキー場の白い残雪とのコントラストが対比が際だっていた。ふと立木を見ると、KUMOの標識が付けられていた。久しぶりに見る標識は比較的新しく感じられた。地形図を見ると標高1787.2mで三角点があるはずである。付近は笹が密生しているので、かき分けながら探してみたが見つからない。どうしてもみつからないのである。間違ったかな???そこでGPSを取り出して確認してみると、間違いなく唐沢山山頂であった。「おかしい!!」そこでもう一度探すが見つからない。結局、三角点探しは諦めて、再び大展望を心ゆくまで楽しんだ。


山頂標識
「記録」

ゲート06:40--(.18)--06:58林道を離れる--(1.43)--08:411858mピーク--(.39)--09:20唐沢山09:43--(.36)--10:191858mピーク--(.52)--11:11林道11:45--(.13)--11:58ゲート





 群馬山岳移動通信/2004