ゴム長靴を履いて里山を歩く「天狗山(甘楽)」「城山(国峰)」  登山日2010年2月28日







天狗山(てんぐやま)標高特定できず 甘楽郡/熊倉山(くまくらやま) 甘楽町(標高特定できず)/城山(ジョウヤマ)標高428m 甘楽郡


2月は野暮用が多くなかなか山に行けない。ぐずぐずしていたら、ついに最終日の2月28日になってしまった。とりあえず計画していた山に向かおうと、4時に起床し現地に向かったが、雨の降り方が半端じゃないので途中で断念して帰宅した。予報を見ると午後からは晴れそうなので、近くの山に出かけることにした。前から気になっていたのだが、特に登りたいとは思っていなかった甘楽町の「天狗山」に決めた。「天狗山」は最近、「Aカップハイカー」さんの周回コースがアップされていたので、それを参考に歩いてみることにした。


2月28日(日)

***天狗山(甘楽)***


上信電鉄「上州福島駅」を過ぎて、国道254を突っ切り、小幡町を通過すると外れに「宝積寺」入り口の標識がある。宝積寺を過ぎるとその先は林道となり所々にある「天狗山」の標識に導かれて登っていく。林道は荒れてところもなく、問題なく登っていける。途中左側ににちょっとした広場があり、その反対側には林道が延びている。標識には「菊ヶ池」と書いてある。下山時にはここを歩いて戻る予定だが、登山口はもっと先にあるようだ。今度は荒れた道を軽トラックで登っていくと斜面を崩して工事を行った場所で林道は終点となった。なにかの工事を行ったのだろうが、荒れ果てて放置されているようだった。ここに車を止めることにしたが、雨はまだまだ止んでいないので、カップラーメンで簡単に昼食を摂ることにする。ラジオからは繰り返しチリ地震による大津波警報が報じられている。次第に太平洋沿岸部の緊張が高まっているのがよくわかる。カップラーメンを食べきる頃になると、雨も止んで天気予報が当たっていたことが証明された。



林道終点に駐車

林道を歩く

鞍部が見える

鞍部の標識



標高700m程度の里山は登山靴では大げさなので、ゴム長靴を履いていくことにした。これは靴底にスパイクが付いているもので斜面で踏ん張りが効くから、山仕事で使っていたものだ。ザックの中は必要最小限のものを入れて出発だ。道はしっかりとしており、鬱蒼とした檜の林の中を続く荒れた林道を登っていく。荒れているといっても歩く分にはまったく問題はない。やがて標識に導かれて林道を離れて右側の斜面に取り付く。急傾斜の道を登り、道なりに左に折れて斜めに歩いていくと尾根にたどり着いた。ここはちょっとした鞍部になっており、標識が設置してあった。鞍部を越えて下降すれば「白倉神社」左のコブに向かえば天狗山山頂となっている。とりあえず、天狗山山頂を目指して歩くと、すぐに山頂に到着した。



天狗山の標識

四等三角点(666.8m)

白倉神社本殿

烏天狗



立派な山頂標識と図根点があったが、なんの取り柄もない展望もない山頂となっていた。地形図を見ると三角点があるはずなのだが、このピークには見あたらない。三角点はこのピークではなくちょっと下がったところにあるようだ。そこで北に向かって歩いてみると、石に囲まれて埋もれている標高666.8mの四等三角点が隠れるようにおいてあった。三角点は必ずしもピークにあるものではないから珍しくはないが、誤解を生むときもある。そうなると山頂標識には「666.8m」の表示があったが、これは等高線から「670m」と修正する必要があるだろう。もっとも、ネットの情報や群馬300山のガイドを見ると天狗山はハッキリとしたピークはなく、白倉神社の周辺を総称して呼ぶと言うことだから、この山頂標識そのものが無意味なのかもしれない。


山頂を辞して、鞍部に戻り白倉神社に向かう。急傾斜の斜面を慎重に下っていく。僅かな時間で立派な社のある白倉神社に到着した。拝殿は崖の上にあり、山形県の山寺の雰囲気も漂っている。それにしてもこれだけの建物を建てるのはたいへんなことだと感動してしまう。資材は人ではもちろんだが、馬でも使ったのだろうか。鳥居のところにある天狗の石像は相当な重さであるだろう。それにしても建物の周囲の落書きは目に余るものがある。簡単にここに来ることが出来るようになった弊害だろうが、許される範囲を超えているのではないかと感じる。


鞍部に戻って今度はルートを南に辿って市町村境界の稜線を目指すことにする。鞍部からわずかに登ると白倉神社の上に出る。ここを天狗山のピークとするガイドブックもあるが、この場所はピークというよりも稜線の一部であると感じる。尾根は一直線に上部に向かって延びているので、それを忠実に辿って登っていく。展望は雑木に阻まれて見ることが出来ない。大津波が気になるので、ラジオを胸元のポケットに入れて聞きながら登っていく。どうやら第一波津波到達時刻は13時頃なので、その時間が刻々と近づいていることでなんとなく緊張感が伝わってきた。市町村境界のピークは830mであるが、展望は雑木に阻まれて相変わらず望めない。藤岡市側は檜の植林地が広がって何も見える状況になかった。試しにこの周辺を偵察してみたが、展望のある場所はないようだ。仕方なくこの市町村境界を西に向かって辿ることにした。今までと変わって稜線はアップダウンも少なく鼻歌交じりに歩ける。いつしか天候は急速に回復し青空と暖かな日差しが満ちてきている。春の里山の雰囲気があふれている状況が気持ちを和ませてくれる。


やがて、なんの変化もない稜線上に赤白のダンダラ棒が見えてきた。こんなところに三角点があるのかと疑念を持ちながら近づくと、土に埋もれた三角点がそこにあった。この山域の三角点は妙なところにあるものだと感じた。するここが896.0mの場所である事は間違いなかった。埋もれた部分を掘り返してみると、三等三角点であることが確認された。それにしてもハッキリとしたピークはもっと先に見えているので、その900mの等高線で囲まれた場所に進んでみる。しかし、そこは顕著なピークではなく平凡な場所だった。とりあえずここでどら焼きを頬張って日差しの中で休むことにした。まあ、この辺が熊倉山と呼ばれるところだろう。しかし、ここからどうやって下降したらいいのだろう。



896.0m(熊倉山)の三等三角点

ゴム長靴

ここが下降点だ

お菊の祠



地形図を見ると、先ほどの三角点のところから尾根が北に向かって派生している。これを辿るのが正解だろうと、三角点のところに戻ってみるが、それらしき目印はない。さらに戻ると明瞭な尾根が見えてきた。境界標識が倒れて横になっており、よく見れば黄色いテープが立木に巻き付けてある。これに間違いなさそうだが、踏み跡はまったく見あたらない。多少不安になったが急傾斜の斜面を下降することにした。倒木も結構あるのでそれなりに注意しながら慎重に歩く。スパイク付きのゴム長靴はそれなりに安心感があり使えると感じる。急斜面も終わり、一旦鞍部に到着し、数メートル進むと尾根が不明瞭になる。

目の前は檜の植林地でよくわからない。肝心のテープ類も探してみるが見つからない。あっちに行ったりこっちに行ったりとウロウロしてしまった。結局、植林地の左の縁(西側)に沿って下降することにした。するといままで見つからなかったテープがあるのを確認したので一安心だ。どんどん下降していくと小屋のようなものが目に飛び込んできた。ちょっと不気味だが近づいてみるとこれが「お菊の祠」だとわかった。祠の中には記帳ノートがあったので開いてみたが、書き込む人はあまりいないようだった。この周囲に「菊ヶ池」があるようだが、確認することを忘れてしまった。

その後は林道をひたすら辿って桜の広場の分岐に向かった。しかし、この林道は意外に長くどんどん下降してしまうのでちょっと不安になるほどだった。それにぬかるんだ林道はゴム長靴の効果がてきめんで、汚れも気にせずどんどん歩いて行くことが出来た。里山はこれが一番かもしれない。



林道終点11:29--(.13)--11:42鞍部--(.01)--11:43 670m峰11:55--(.05)--12:00白倉神社12:12--(.25)--12:37 830m峰--(.27)--13:04熊倉山13:17--(.12)--13:29 790m峰(迷う)13:43--(.08)--13:51お菊の祠13:53--(.19)--14:12林道


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)





***城山(甘楽)***


この山は昔に登ったことがあるが印象が薄い。天狗山の歩きも短時間だったので、寄り道程度に登ってみることにした。国峰城址の標識を頼りに山に向かって軽トラックで登っていく。道はやがて荒れた様相になり道幅も狭くなってきた。こうなると軽トラックのありがたさがわかってくる。途中には木の枝も邪魔をして、乗用車だったら傷をおそれてなかなか前に進めないだろう。竹も多く先日の雪で折れたものも多数見られた。



林道入り口

国峰城址跡に駐車する



やがて、この林道から考えると不釣り合いな「国峰城址」にたどり着く。大きな円形の広場で中央には大きな石碑が立っていた。近づいてみるとそれは小幡氏に係わる人たちのものであることがわかった。それにしても立派なものなので、末裔の人たちの財力に感心するばかりだ。この広場に軽トラックを駐車して準備をして出発だ。胸元のラジオからは津波の情報が引き続き流れている。この時点では人的被害が出ていないようなので一安心だ。


駐車地点から僅かばかり林道を詰めると、標識があり階段状の道が斜面を登るようになっている。山頂まではこの調子で整備された道が続いている。途中に赤鳥居がありそこを過ぎてひと登りすれば山頂にたどり着くことが出来た。山頂にはいくつかの石祠と国峰城址の歴史を書いた案内板がおかれていた。また天狗山にもあったが、「すかいさん」の地味な山頂標識が取り付けられていた。古い大きな杉の木は中心部が空洞になり、ここにも記帳ノートがおかれていた。開いてみると「お菊の祠」と違って、こちらの方は訪れる人が多いようだ。山頂からの展望は雑木に阻まれてあまり良いとは言えなかった。



林道から山道に入る

城山山頂



国峰城址14:50--(.09)--14:59城山15:08--(.06)--15:14国峰城址


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)