沼田市の山「鹿俣山」と「戸神山」
登山日1996年6月29日


鹿俣山(かのまたやま)標高1637m 群馬県沼田市・群馬県利根郡/戸神山(とかみやま)標高765m 群馬県沼田市
鹿俣山山頂
6月29日(土)

*鹿俣山*

 沼田市の北に位置する玉原湿原、2年前にその周囲の山でUGC/UGD/鈴木さんご夫妻にお会いした。そのときご夫妻は鹿俣山を経由して尼ヶ禿山に来た所であった。そのときから鹿俣山は気になった山だった。まして鹿俣山から獅子ヶ鼻山に向けて新しい登山道の計画があると聞いて、はたしてそれが実行に移されているのかその確認もしたかった。

 玉原スキー場の大きな駐車場をさらに進むと、玉原キャンプ場の大きな案内板がある。この先は車両の進入が出来ないように簡単な柵が置いてあった。簡単なものなので、移動して車で中に入ってみた。道はスキー場の中程の、第3リフトの乗り場まで続いていた。第3リフトに沿って道が上部に延びており、その先はガスが巻いていた。地形図から見ればこのリフト脇の道を歩くことで、鹿俣山山頂に行ける訳だ。しかしそれでは面白味がないので、先ほどのキャンプ場入り口まで戻ってそこから歩くことにした。

 今日は天候が悪く、時折雨が強く風とともに吹き付けてくる。しかし歩き始めると同時に道は樹林の中に入ってしまうので、雨はさほど気にならなくなった。やがて数分でシーズンオフでもあるのに、テントが張ったままになっているキャンプ場に到着した。このキャンプ場の最上部の広場の右上に道は続いている。いよいよ登山道らしくなってきたが、それでも道は広く歩きやすい。

 熊笹の道を進むと道は分岐した。下から来ている道はオートキャンプ場の方向から来ているものと思われた。ここから道はゆっくりとなだらかに登っていく。
ここはブナの林で天候が良ければ、おそらく素晴らしい登山道となるに違いないと想像しながら歩いた。登山道としては立派な広い道はよく踏まれている。

 やがてスキー場のゲレンデのリフトの終点と登山道が交わった。ここから下を見ると、なんとすぐそばに第3リフト乗り場が見えていた。こだわりを捨ててこのゲレンデを登ったならば、すぐにここまで来ることが出来たと思った。ゲレンデはさらに上部まで延びているのだが、登山道は再び樹林の中に戻ることになった。このあたりから笹が道に掛かるようにようになったので、ズボンの濡れが気になってきた。

 さらに道は緩やかで、本当に山に登っているのか怪しくなるほどだ。そしてさらに歩くと、前方になにやら登山者の団体が見える。それも10人以上の大パーティーだ。「これはだめだ」とあっさり諦めて休憩をして、足下はスパッツを装着した。10分ほど休憩して再び出発した。

 しかし、すぐにその団体さんに追いついてしまった。しかし追い越すには人数が多すぎる。それに笹の葉の露払いをやってもらうという大切な役割もある。その辺の損得勘定を考えて、結局は後ろから付いていくことに決めた。

 標高1550m付近に、なんと動物の大きな糞が塊となっていた。この糞は間違いなくあの動物のものに違いない。そう「熊」のものだ。この付近は熊が出ることで有名で、時折新聞の紙面を飾ることもある。しかしこれだけはっきりとした道と、複数の人間が入っている山だと言うことで、全くパニックには陥らなかった。

 道に初めて目立った花「ギンリョウソウ」が現れた。この幽霊のような花は、今日のような天候の悪い日にはよく映える花だ。そして最後の登りでしっかりと団体の最後尾に追いついてしまった。みれば相当な年齢の人たちで、私を見て「若い方は早いですな」と言われてしまった。まあ若く見られるのは悪くはないが、これは自分よりも若い人に言われてはじめて喜べるものだ。ともかく追い抜くことも出来ないので、あとから付いていく事になった。

その団体も稜線の鹿俣山と玉原乗越に道が分岐するところで休憩となり、ここでやっと追い越すことが出来た。しかし、ここからわずかで鹿俣山山頂に着いてしまった。山頂は裸地になっており、山頂標識が置かれていた。また藪の中にはおなじみGさんの標識が立木に取り付けられていた。さて赤地さんが取り付けたプレートの場所は何処だろうか。そこには三角点が埋め込まれているから、それを確認したいこともある。(ただしプレートはすでに無くなっていることがUGC/鈴木さんによって確認されている。たしかシラカバの木があるはずである。そうして周囲を見渡すとそのシラカバはすぐに見つかった。そこはあまり人が入らないと見えて、笹藪になっていた。ずぶ濡れになりながら、そのシラカバの木の所まで行って下を探すと、すぐに三角点は確認する事が出来た。赤地さんのガイドは的確だった。

 雨は止んでいたのだが、ガスで山頂からは展望は全くきかない。そして獅子ヶ鼻山に向かう道はどうかと確認してみたが、踏み込む事さえ出来ない。これでは怪人が諦めたのも納得できた。無線のほうは430MhzでFDIが「オドケ山」から出ており、カードは確保出来た。さらに猫吉さんが出ていたのだが、コンタクトは出来たものの待機時間に行方不明となってしまった。

 無線が終了、展望も期待できないので早速下山する事にした。下山はスキー場のゲレンデを利用したら、山頂からわずか20分で車を駐車したところに着いてしまった。


*戸神山*

 山頂からの交信でFDIが、御荷鉾林道付近は晴れていると言っていた。どうやらこの玉原高原付近だけが天気が悪そうだ。時間もまだ早いので、かねてから気になっていた「戸神山」に登ることにした。

 「トンガリ山」が転じて戸神山になったとの説があるが、関越自動車道から見るとその姿はまことに素晴らしい三角形をしている。標高は765mながら、登ってみたくなる姿である。

 玉原高原から沼田市街地に向かい、下発知のバス停の手前に火の見櫓の鉄塔があり、ここには石尊山登山案内の案内板がある。(地元では戸神山は石尊山と呼んでいるらしい)適当な農道の畦に車を止めて歩き出す。

 人家が途切れたところに古ぼけた薬師堂があり、そこの手前を右折してすぐに山道に入る。さすがに初夏の低山で、下草が登山道にびっしりと生い茂っている。ちょっと不気味だが、それをかき分けながら登っていく。所々に標識もあるのだが、朽ち果てたものもありあまりあてにならない。もっともこんな低山では天気の急変でもなければ遭難はあり得ないだろう。

 上部に行くに従って、植林の樹木が大きくなってきて下草が少なくなった。そして山頂の稜線に着く頃には、大変に歩きやすくなった。

 そしてひょっこりと山頂についた。山頂はなんと展望の素晴らしい所なのだろうか。360度遮るものが無く、赤城山、子持山、すぐ近くには上州三峰山、振り返ると上州武尊山、その手前には先ほど登った玉原高原の山があった。なんと皮肉なことに鹿俣山は今は晴れて山頂が見えていた。眼下には沼田市街が広がり、関越自動車道を行き交う車がラジコンカーの感覚で走っていた。

 山頂には石祠が設置してあり、展望方位盤がおいてあった。また4等三角点の表示板が岩に埋め込まれていた。地形図には三角点の表示が無いのだが、これは標石が無いときは記入はされないと言うことなのだろうか ?

 赤地さんの達筆標識があったので、そこで記念撮影をしてから無線運用をはじめた。HIGが「東籠ノ登山」から出ていたので、早速お声掛けした。これでQSLは大丈夫だ。林さんのいるところは青空で、富士山も見えると言う。どうやら今日は場所の選定を誤ったようだ。

 帰りは戸神山の隣の「高王山」に行くことにした。ところがひどい藪で、最後の急登がどうしても登れない。結局断念しておとなしく車に戻った。



「記録(鹿俣山)」

玉原キャンプ場入り口09:14--(.11)--09:25分岐--(.16)--09:41ゲレンデ--(.54)--10:35分岐--(.04)--10:39鹿俣山山頂11:31--(.17)--11:54第3リフト--(.03)--11:57キャンプ場入り口

「記録(戸神山)」

下発知町登山口12:32--(.25)--12:57稜線--(.07)--13:04戸神山山頂14:01--(.07)--14:08藪の中へ--(.17)--14:25引き返す--(.06)--14:31登山道--(.14)--14:45下発知町登山口

              群馬山岳移動通信/1996/




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