10年越しの山「上砥草山」
       1年越しの山「金比羅山」   登山日2003年2月15日


上砥草山(かみとくさやま)標高1312m 群馬県吾妻郡/金比羅山(こんぴらやま)標高1000m 群馬県吾妻郡


嬬恋村にある上砥草山と金比羅山は、いずれも登ることが出来ずに敗退している。上砥草山は10年前に挑戦したことがあるが、20万分の1の道路地図を頼りにしていたものだから、分からなくとも仕方ないといえる。金比羅山は去年、近くまで行ったのだが、地形図を「大前」だけしか持っていなかったこともあり、ルートの設定が出来ずに悔しい思いをした。

 2月15日(土)

   ***上砥草山***

仁田沢集落から浅間山を振り返る林道から上砥草山を見る

 上砥草山の南にある、嬬恋村仁田沢の集落の切れる場所に車を停めた。林道はなおも続いているが除雪がなされておらず、これ以上は進めなかった事もある。試しにピッケルを突き刺してみると80センチのピッケルが元まで刺さってしまった。雪の上を歩いてみるが意外と雪が締まっており、スノーシューはザックにくくりつけることにした。

 林道歩きはつらいものだが、この積雪では車両も来ることはないから、堂々と真ん中を歩けるものだから、むしろ心地良い感じさえある。空は素晴らしい青空で、足下の雪はその朝の光を受けてキラキラと輝いていた。気温も次第に高くなっているようで、着込んでいたフリースとセーターは、すぐに脱ぐ羽目になった。

 林道の雪の上には、ウサギの足跡が頻繁に横切っていた。さすがに熊の足跡は見られなかったので一安心だ。しかし、振り返ると最近有色煙が観測された浅間山が相変わらず噴煙を上げているのが、むしろ心配ではあった。

 GPSを見ながら歩くのだが、どうもGPSを頼りに歩くといつまで経っても上砥草山に近づかないのである。地形図を取り出して見ると林道の曲がり具合から見て、三角点のある場所は通り過ぎているように感じる。しかし、GPSを信じてなおも林道を登ってみることにした。しかし、三角点の場所はもちろん、地形図の上砥草山と記してある場所からも遠ざかってしまう。我慢できずにマップポインターを取り出して、三角点の位置を計測してみる。
上砥草山山頂の三角点
 なんとGPSに入力したデータが間違っていたことが判明した。早めに間違いを訂正するために確認すれば良かったと反省した。しかし、この山は10年前に敗退しており、またもやそっぽを向かれるところだった。

 林道を戻って、こんどはGPSに導かれて林道からカラマツ林の中にはいると、すぐに三角点が見つかった。こう考えてみると、この山は雪のない時に車で来れば数分で三角点にたどり着ける。わかってしまえば簡単な山だったのだ。

 帰りは林道をショートカットして雪の中を下ったら、なんと林道の落石防止用の柵に阻まれてしまった。柵の高さは2メートル弱ほどあり、どこから脱出すればよいのか途方にくれてウロウロしてしまった。その時に仁田沢から犬の散歩に来た老人と出くわした。老人もビックリしたらしく、檻の中の熊を見るような目で見られてしまった。
「近道をしたら出られなくなりました」
そう言い訳をして、腕力で柵に這い上がり、やっとの思いで飛び降りた。幸い雪がクッションになったおかげで怪我はなかったが、、上砥草山は最後まで手強いと感じた。

「記録」
仁田沢集落07:20--(1.25)--08:25林道を戻る--(.15)--08:40林道を離れる--(.05)--08:45上砥草山08:50--(.04)--08:54林道--(.21)--09:15仁田沢集落


  ***金比羅山***

浅間山を眺めて牧草地を歩く金比羅山手前の三角点

 国道144号線から折れて、JR吾妻線の終着駅である「大前駅」を通過、さらに細原開拓に向かって山道を登る。金比羅山は東・北・西の三方を深い谷に囲まれており、一年前この谷を越えようとしたのだが、それはあまりにも無謀だったので断念した。南からのルートを考えたのだが、地形図の用意がなく断念していた。

 土井牧場の手前の適当なところに車を停めた。地形図で標高点1001mのある場所である。ここから金比羅山に向かってコンパスをセットして、適当に歩き出す。

 しばらくは適当な道を選んで進んだが、民家の庭先に出てしまった。ここはルートを修正して雪で一面が真っ白になった牧草地を歩くことにした。当然、牧草地は私有地であるので、真ん中を突っ切るわけにもいかないので端を歩いた。効率は悪いが、自分も百姓の端くれ、私有地に勝手に入られるのは、あまり気分の良いものではない。

 3つほどの広い牧草地を抜けると、今度は雑木林の中に入った。林の中の雪は締まっておらず、膝あたりまで潜る場所も出てきた。ここで用意してきたスノーシューを装着した。この威力は絶大で、快適に歩くことが出来た。

 やがて雪の上に杭が見えた、近づくと三等三角点と文字が書いてある。地形図を見ると金比羅山の手前の三角点に間違いなさそうだ。ここを通過すると一旦鞍部に降りてからわずかに登り上げる。ここから北に向かって藪の中の斜面を下る事になる。時折、青いビニルが枝にしばられているところを見ると、この山に登る物好きもいるようだ。
金比羅山山頂の直方体の石
 やがて斜面は鞍部に到着、緩やかな斜面をわずかに登りきると、そこが金比羅山の山頂だった。山頂は大きなナラの木が密生しており、その部分は明らかに人工の盛り土をした形跡が感じられた。さらに何かの構築物があったようで、直方体の石の一部分が雪の中からのぞいていた。

 山頂からはその密生したナラの木が無ければ眺望は抜群だ。なにしろ草津白根、志賀、四阿山、黒斑山、浅間山が一望にあるからだ。周辺を歩き回って見ると、やはりこの山は切り立った谷に阻まれて、南方からのアプローチ以外は難しいと思われた。

 山頂で、まだ高くなりきっていない太陽を浴びながら、ゆっくりとビールを楽しんだ。








「記録」
細原開拓09:51--(.22)--10:13三等三角点--(.13)--10:26金比羅山11:03--(.43)--11:46細原開拓

群馬山岳移動通信