立派な鉄塔巡視路を辿る「居鞍岳(榛名)」
登山日1998年5月16日


居鞍岳(いぐらだけ)標高1340m 群馬県吾妻郡
掃部ヶ岳の湧水
 立派な鉄塔巡視路を登る「居鞍岳(榛名)」

5月16日(土)

 買い物に出たのだが、天気があまりにも良いので車を山に向けてしまった。場所は前から気になっていた榛名山の居鞍岳である。榛名湖畔は今やツツジが満開で一面オレンジ色に染まっている。

 国民宿舎ゆうすげの横を抜けて北に向かう道に入る。この道は、はじめはあまり整備されていないのだが、峠を越えると一転して立派な道になる。これは現在、道路整備中でその一部が供用されているからだ。近いうちに立派な道が榛名山を貫くはずである。

 道が大きくS字を描く所には「掃部ヶ岳の湧水」と名付けられた水場があり、多くの人が列を作っていた。ここからは目指す居鞍岳が大きく見えている。地形図を見ながら慎重に左に入る道を探しながら運転する。道が狭まるところで道路新設工事が行われており、柵が厳重に設置されて中に入ることが出来ない。仕方なくさらに下に向かうと、地形図に現されているものと思われる道が左に入っている。しかしここも道路工事のため一般の車は進入禁止と看板が出ていた。

 柵は開いているのだが、無用なトラブルは避けなければいけないので、入り口付近に車を止めて歩き出す。道の入り口には発破に対する注意が書いてあり、ちょっと緊張する。静かな車道をゆっくりと登っていくと、先の方でなにやら重機の音がする。見ればちょうど登山口付近で、工事の真っ最中で盛んに斜面を崩している。仕方ないので右の斜面に登り迂回することにする。

 かなりのアルバイトを要して迂回してなんとか登山口に到着。ここは地形図で標高1020mの標高点のある峠で、居鞍岳の尾根に沿って道が表現されている。しかし、尾根の西側に送電線鉄塔があるからには、それに沿って巡視路があるはずである。

 1020mの峠からは丁寧に階段状の道が造られており、おそらくこれが巡視路であると思われる。そこでこの階段を登ってみると、道は地形図の表現と違って、西に曲がり送電線鉄塔に向かっている。これは巡視路に間違いなさそうで、立派に整備されてうるさい藪さえも刈り払われている。

 ほぼ水平に道は続き、連続して2箇所に渡って水場が作ってあった。その後はなだらかな登りの道になり、素晴らしい道がずっと延びていく。しかし道は素晴らしいのだが、周りが木々に阻まれて全く見ることが出来ない。おそらくこれが冬の時期ならば、葉が落ちて展望も良いと思われる。

 道は相変わらず良く整備されて、ロープで簡単な手すりを設置したところも現れた。ここを過ぎるとbP5鉄塔に行き着く。このbP5鉄塔から道は山肌に沿って、東に折れるように曲がる。そのまま道なりに進むと、居鞍岳の山頂部分が見えてきた。ここから見ると、どうやらこのまま道を進むよりも、ここから一気に斜面を登り尾根を辿った方が早そうだ。

 そこで早速、藪をかき分けて斜面を登り尾根に到達して、ここから山頂に向かうことにした。尾根上は若干の踏み跡が見られて、藪もさほどうるさくはなかった。ゆるやかな尾根を登ると石祠が現れたが、書いてある文字はかすれて読みとるには無理があった。しかし「大戸」の文字が見えたので、吾妻町の大戸地区の人たちの信仰を得ているものと思われる。

 石祠からほぼ水平にわずかな距離を歩くと、三等三角点が現れた。まさしくここが居鞍岳山頂であった。山頂からの展望は、木々の葉により全く見られずに、ちょっとがっかりだ。その代わりに「KUMO」の山頂標識があり、すこしは心が和んだ。標識はそのほかは「井上昌子」の落書きがあるものもあったが、おなじみGさんのものは見られなかったのはちょっと意外だ。

 さて記念撮影と思い、カメラを探したが見つからない。いくら探しても見つからない。どうやら先週の「黒湯山」に続いてカメラを忘れたようだ。どうやらアルツハイマー病が進行しているのかもしれない。仕方ない記念撮影は諦めるしかないようだ。無線の方は50Mhzで、交信してあっさり中止にした。周りが木に囲まれている割には、山頂は風が強く薄着で登ってきたので寒さを感じる程だ。

 体も冷えてきたので、ちょっと駆け足気味で山を降りることにした。今度はルートを変更、石祠の所から西に見える鉄塔に向かって降りた。鉄塔のそばには黄色い標柱があり「新榛名線第16号に至る」と書いてあった。さらにそのそばには「居鞍岳、ここから高見を目指す」と消えそうなフェルトペンの文字が見える。ここから山頂を目指せば確かに楽だったのかもしれない。

居鞍岳はこれから1020mの標高点までの道が開通すれば、ハイキングコースとして脚光を浴びることが出来るかもしれない。その日も近いような気がする。




「記録」

林道入り口13:16--(.13)--13:291020m標高点--(.41)--14:10居鞍岳山頂14:45--(.21)--15:061020m標高点--(.14)--林道入り口15:20




         群馬山岳移動通信/1998/