大展望を簡単に   登山日1999年1月30日


破風山(はふやま)標高1068m 群馬県吾妻郡・利根郡/長見山(ながみやま)標高571m 群馬県吾妻郡


 破風山は高山村と新治村の境に位置しており、新治村の山に登ると、南に目立つ山がある。初めは榛名山魂あたりだと思ったが、それが破風山と気づくまでは、かなり後になってからだった。それ以来、気になって近くの蟻川岳に登った時も、破風山に続く林道を目で辿って、ルートを確認した事もあった。

1月30日(土)
bQ0鉄塔から浅間山方面
***破風山***

 国道145号線を西に向かって走行、高山村の「判形」の信号を右に折れる。狭いが舗装されており、対向車ともすれ違いは可能な道をそのまま進む。道には数センチの積雪があり、慎重にゆっくりと走行する。やがて道は分岐「林道北山本線・起点より16km」の看板があり、ここは左に曲がって林道を進む。GPSの林道の表示はここで終わって、しまった。2万5千分の1の地形図も、ここからの林道の表示は表されていない。舗装された林道は南側の展望が素晴らしく、見とれてしまう。自分の車の轍が雪の上に残るだけで、なんだかこの景色を独占している満足感が得られた。

 判形の信号から、7.7km走行したところで道が分岐した。近くには標柱があり「起点より7000m」の文字が読みとれた。ここを過ぎると破風山から遠ざかってしまうので、分岐した道を右に曲がって山に向かっていくことにする。

 積雪が深くちょっと嫌らしいが、慎重に登っていく。分岐から1.7kmのところで道は再び分岐した。ここも通り過ぎると破風山から離れてしまうので、右に入ることにした。しかし、この道は積雪が深く、とても私の車では入り込むことが出来ない。仕方なく車はここに置いていくことにする。

 車から離れて歩き出すと、雪の中に潜って歩くのが困難だ。戻ってワカンを装着して再び歩き出した。林道はなかなか快適で、ワカンの足跡を残して歩く。道は一旦下ってから大きな鉄塔にたどり着く。鉄塔は「北栃木幹線bQ0」の名称が付いていた。ここからの展望は見事で、八ヶ岳、浅間山、北アルプスの白く輝く稜線が青空に浮かんでいた。

 bQ0鉄塔からもさらに舗装の道は続いており、100mも歩くと道は林道から左に向かう明瞭な道を見る。迷うことなくその道にはいると、わずかな距離で山頂に到着した。

 山頂には石祠があり、そばには四等三角点が設置されていた。さらにその先には大きな利根川統合管理事務所の無線電波反射板が設置されており非常に目立つものだ。その反射板の先は崖になっていて、雪を被った谷川連峰が間近に見渡せた。さらに手前には赤谷湖の青い湖面が宝石のように輝いていた。

 先ほどの三角点に戻り、Gさんの標識の前で記念撮影をする。しかし、この破風山の山頂はなにか変である。それはここに三角点があると地形図に表されていないのだ。三角点はここからさらに1.5km西にある「1158.2m」のピークにしかないわけだ。再び地形図を見ながら、周囲の地形を較べてみる。現在地が地形図の三角点と仮定すると、西側はなだらかになっていなくてはならない。しかし、今ここから西を見ると急傾斜になっており、明らかに地形図と異なる。
破風山から谷川岳・三国峠方面
先ほどの反射板の所に戻って、そこに記載された位置の経緯度を確認する。
緯度36度39分13秒
経度138度55分24秒
標高1067.8m
この数字から現在地を確認すると、明らかに地形図の「破風山」の表示のあるピークになっていた。するとここにある三角点は、どんないわれのものなのだろうか?興味のある事実である。

(ちなみに車を駐車した場所は、緯度36度39分16秒、経度138度55分09秒であることを帰りに確認した)

 しかし、あまりにも歩行時間が短かく、ちょっと物足りないので東の988mの標高点のピークに行ってみることにする。南側は刈り払いがなされており終始、子持山、小野子山、榛名山が見えており快適だ。988mのピークには、bQ1鉄塔が建っている。ここからの展望は日光方面が素晴らしく、尾瀬、奥白根山、皇海山、武尊山が視界一面に広がっていた。

 展望を楽しんだ後、再び破風山山頂に戻ることにした。

 山頂に戻り、ここにある三角点の意味を考えながら食事をとった。私が持っているのは昭和60年発行の図幅であるが、この後の改訂でどう変化したかを確認するしかなさそうだ。 無線は川場村の人と交信して打ち切った。

大原地区より長見山(手前の黒い部分)・嵩山・松岩山・草津白根
***長見山***

 破風山から下りてみたが、まだ時間が早いので中之条町の長見山に行ってみることにした。国道145号をさらに西に進み、二日市の信号を左折、すぐに右折して大原地区に向かう。大原地区は十二ヶ岳の北に位置しており、大規模な農場が広がっている。試しに、この道をどんどん進んでみると、広大な農場から北側に広がる山々が一望出来た。素晴らしい光景なので、カメラを取り出して思わず数枚を撮影した。

 再び道を戻り、標高460メートル付近の路上に駐車した。ここから車道を少し登り、右の田んぼを抜けて山に入った。尾根上の盛り上がった部分には踏み跡があり、それを辿って登っていく。やがて傾斜が急になり、とても直登出来ないので、ジグザグに歩くしかない。するとどうだろうか、廃林道があらわれ、その終点に出てしまった。

 廃林道は山腹を左に巻くようつけられている。苦しい直登は諦めてこの林道を歩いてみることにした。約半周ほど回ると、再び林道に出くわして、左に折れて水平に歩くと林道終点となった。林道終点は広くなったおり、車の転回場所の様だった。そして隅には土にほとんど埋もれてしまった三角点が置かれていた。

 山頂は鬱蒼とした木立に囲まれて、展望はほとんどない。(長見山=眺め山)の期待はちょっと叶わなかった。ここからは自宅に携帯電話で連絡、自宅にいる子供に無線に出てもらってQSLをなんとか確保して終了した。

 帰りは来た道を戻るのもつまらないので、林道を分岐で曲がらずにそのまま東に行ってみた。木立が途切れるとカヤトの原になり、さらに進むと鉄塔(玉原線bU9)の脇を抜けて車道に飛び出した。その車道を下って行くと先ほど通過した、大原地区の広い車道に出た。ここには、「大原農場・岡部養豚」の看板があった。ここから登った方が簡単に山頂に到達出来ると思われる。(今後、登る人がいるかどうかは疑問だが)



「記録」

***破風山***

 林道駐車地点(標高1010m付近)10:16--(.20)--10:36破風山10:56--(.13)--11:09988m標高点11:45--(.14)--11:59破風山12:51--(.11)--13:02林道駐車地点


***長見山***

 大原地区駐車地点(標高460m付近)14:02--(.16)--14:20長見山山頂14:26--(.11)--14:37車道--(.14)--14:51駐車地点


群馬山岳移動通信/1999/