カンジキのテストで赤城五輪尾根    登山日2008年2月11日




出張山(でばりやま)標高1475m 群馬県渋川市。勢多郡/薬師岳(やくしだけ)標高1528m 群馬県渋川市・沼田市。勢多郡/陣笠山(じんがさやま)標高1490m群馬県沼田市・勢多郡




深雪の上を歩くには、それなりの装備が必要だ。スノーシューは大きいだけに、沈み込みも少なくこの点は優れている。しかし、その大きさから、携帯性に問題があって、ザックに入れることは不可能だ。また、平地を歩く場合と登る場合は良いのだが、下降となるとテール部分が障害となって、とても歩けるものではない。仕方なくスノーシューを外して、歩くことになるのだが、これでは深雪に埋まってしまい、なんにもならないのである。

輪カンジキは、昔から日本で使われており、日本の雪に適していると思われる。豪雪地帯の名前が付いた、谷川、芦峅なんてのは有名だ。輪カンジキはスノーシューにこそ沈み込みではかなわないものの、機動性は優れている。登高や下降でも問題なく、小さいので藪の中でもそれなりに歩ける。しかし、手入れが面倒くさく、亜麻仁油を塗ったり、故障も結構あるから出かける前の点検が面倒だ。

輪カンジキの材質をアルミに変えたものがあり、これはメンテナンスがほとんどいらない。しかし、厳冬期などは、金属部分に雪が張り付いたり、指を付けようものなら、貼り付くこともある。

カンジキ(SK−U)は、輪カンジキの材質をプラスチックに変えたもので、なんとなくスノーシューや輪カンジキの欠点を補っている感じがする。たまたま、インターネットこれを見つけたので、何となく衝動買いをしてしまった。

こうなると、どうしても試してみたいと思っていたら、関東平野部にも積雪があった。これなら、どこに行っても使えるだろう。かねてから、歩いてみたかった赤城山の五輪尾根に行ってみることにした。積雪がなければ2時間ほどの行程で中途半端なのだが、積雪があればそれなりに楽しめるだろう。

2月11日(祝)



左端がカンジキ(SK−U)重量は900グラム




長爪は脱着できる。ただし面倒くさい。




使用はこんな感じ




裏面はこんな感じ


さいたま少年自然の家の駐車場から遊歩道に入ると、予想通りに誰も歩いた形跡がない。いきなり、ツボ足で50mほど進んだところでカンジキを装着する。初めてなので、装着は結構手間取ってしまったが、慣れてくればそれなりに早くなるだろう。しかし、手袋を着けたままでは無理ではないかと思える。実際に歩いてみると、それなりの効果があるようだ。いや、明らかに効果があるようだ。次第に傾斜が強くなってきたがさほど不都合はなかった。

出張峠から尾根を辿って急傾斜の道を登る。遠く上信越国境の山並みが青空の中で白く輝いている。出張山の直下ではかなりの急傾斜。キックステップではちょっと無理があるので、カンジキを斜面の傾斜と平行にして押しつけた方が良いこともあった。カンジキの雪抜けは大変良く、踏み込んだ足を引く抜きには全く問題がなかった。

出張山の頂上からは大沼を取り囲む黒檜山、地蔵岳がきれいに見える。カンジキは爪を長くすることができる。斜面での踏ん張りに不満があったので、長爪に変えてみることにする。ところが、これは山行途中では不可能にちかい。小さな六角レンチで六角ボルトを締め付けるのだが、厳冬期などでは手袋付けたまま、この作業はできない。まして、六角レンチを紛失したらそれこそアウトである。深雪の中に落としたら発見は不可能だ。これは大きな不満となるところだ。また、長爪にすると雪のないところでは、足下が不安定となりとてつもなく歩きにくい。

出張山からは深雪の下降だが、これはスノーシュート違って、すんなりと雪まみれになって下降することができた。この五輪尾根は雪庇が出来ていて、尾根の上は腰のあたりまで踏み込んでしまう。これではどうしようもないので、尾根を外してルートを取るが、そこは雑木が多く、スノーシューだったら引っかかって歩きにくいところだが、カンジキはそれがない。もっともスノーシューだったら尾根の上を楽に歩けたかもしれない。


物好きがいるもので、薬師岳手前のあたりから踏み跡が見られた。これは熊谷市立山の家から登ってくるルートである。登ってきたのかあるいは下降したものなのかはよくわからないが、私とは逆ルートを辿っているように思われる。薬師岳を過ぎたあたりからカンジキに不具合が出始めた。カンジキが足底に付かないでズレてしまうのだ。極端なことを言うと、靴の横にカンジキを付けてしまっている。カンジキが90度回転しているようなものだ。何度も何度もズレを直したり、バンドを締め付けたが効果がない。あまり締め付けたものだから、足の甲が痛くなるほどだ。なにか、良い方法はないものか、これは明らかに不具合だ。
陣笠山で昼食、いつものサッポロ一番味噌ラーメンである。
黒檜岳を見ながら、無風快晴の山頂を楽しんだ。
赤城神社の赤い橋がとても鮮やかに見えた。
結局、カンジキ(SK−U)の使用感であるが、スノーシューにはないメリットが多くある。カンジキがズレてしまう不具合を解消できれば文句はないだろう。これは補助ベルトを使うことで解消できそうだが、どうだろうか?

それにしてもコースタイムは夏の3倍もかかってしまった。


カンジキのHPはこちら
http://www.shinko-denki-kogyo.com/

「記録」

大沼09:06--(.06)--09:12さいたま少年自然の家--(.31)--09:43出張峠--(.23)--10:06出張山10:24--(1.24)--11:48薬師岳--(.46)--12:34陣笠山13:18--(.37)--13:55大沼


群馬山岳移動通信/2008/