越後三山登り残した「中ノ岳」  登山日2002年8月10日

中ノ岳山頂直下から見る丹後山方面

日向山(ひなたやま)標高1561m 新潟県南魚沼郡/中ノ岳(なかのたけ)標高2085m 新潟県南魚沼郡・新潟県北魚沼郡


十字峡登山口
 越後三山のうち「中ノ岳」は「丹後山」経由で実行したことがあるが、猛暑と疲れで丹後山でダウン敗退している。いつかは登らなくてはと考えていたが、なかなかその機会が巡ってこなかった。

 8月10日(土)

 まだ薄暗い夜明け前の十字峡の駐車場に車を停めた。すでに駐車場には何台かの車があったが、釣りが目的の人が多そうだ。夜中の2時に家を出たこともあり、眠さが残るがなんとかなるだろうと歩き出した。

 登山口から山に向かっていきなりコンクリートで固められた階段を登ることになる。階段を登りきると、やっと登山道らしい雰囲気の道となった。しかし、樹林に囲まれた登山道は朝だというのに蒸し暑く、これから日中はどうなるのか思いやられた。展望もなくひたすら登ると一合目の丁目石に出会った。さしたる展望もなく、場所を確認しただけでそのまま通過した。

 展望のない樹林の中の道は、依然として変化無く続く。途中に岩場があり鎖が設置されていたが、それを使うほどでもなく難なく通過した。次第に展望もひらけるようになり、振り返ると「三国川ダム」が朝の光に覆われようとしているところだった。さらに目を転じれば、かつて遭難寸前にまで陥った「本谷山」と、それに延びる「中尾ツルネ」が懐かしく遠望できた。やがて歩き始めて約一時間で二合目に到着した。どうもこの暑さで、この急登は体力的に危ないと感じた。そこで元気なうちに昼食に用意したコンビニの「たぬきうどん」を食べてしまうことにした。あの「本谷山」では疲れと熱中症で、なにも食べられない状況になった苦い経験がある。丁目石の横で食事をしていると、山歩きに慣れた様子の男性登山者がやってきた。同じくここでおにぎりを頬張りだした。四方山話をしながら暫く時間をすごした。

 二合目の丁目石を過ぎて数メートル歩くと、そこには「千本松原」の標識があった。そう思って周りを見ると、確かに松の木が多いように思う。三合目からもさしたる展望も無くいよいよ蒸し暑さも本格的になってきた。
日向山から見る三国川ダム


 五合目に着くとそこには日向山の標識があったが、地形図から見ると日向山の山頂はここから見える高見にある建物の場所になっている。その建物は雨量ロボットが設置されているもので、本谷山に登った時の中尾ツルネと呼ばれる場所にもあったものだ。ともかくその山頂を目指すと、2分ほどで建物に到着した。そこには三角点が設置されており、そこから眼下に見える三国川ダムの風景はいつまで経っても飽きないものだった。まずは建物の影に入って腰を下ろした。暑いこともあり凍らしたジュースを首筋に当てて体温を下げた。テルモスに入れてきた氷に水を入れて、冷たくなった水を飲むと何物にもかえられない旨さが口の中に広がった。今日は水を4リットル持ってきている。この時期の越後の山は水が全てを決するような気がする。

 休憩後、登山道に戻り、目の前に見える中ノ岳に向かった。道は多少のアップダウンはあるものの、高度を上げることもなく暫くは歩くことになる。ここは「生姜畑」と呼ばれるところで、草地と灌木と地塘が次々に現れた。地塘はオタマジャクシが無数見られ色は茶色くなっており、飲料水とするにはちょっと無理がある。他にも沢が見られるので寄ってみたが水の確保は出来そうになかった。

 生姜畑を通過して、いよいよ中ノ岳への本格的な登りにさしかかった。ともかくバテる前に休憩をとることにした。日陰に入り腰を下ろして、冷たい水を飲むとこのまま座っていたい気持ちになった。しかし、ここまで来て中ノ岳に登らなくては、再挑戦でこんな苦しい目に遭うのは御免だと思った。そうしているうちに犬を連れた登山者が近づいてきた。軽く会釈をしただけでその登山者と一匹は通り過ぎていった。これで今日は三人と一匹に追い越されたことになる。
八合目付近より日向山を振り返る
 日差しがすっかり強くなった尾根道は、直射日光を遮るものもなく、ジリジリとすべてを焦がすかの勢いで照りつけてきた。それでも雪渓の残る谷から吹き上げてくるわずかな風が涼しいと感じた。

 七合目(標高約1680m)で休んでいる犬連れ登山者を追い抜き、なんとか引き離そうと思ったが、すぐにまたダウン。再び追い越される羽目になった。八合目付近からは振り返れば、登ってきた日向山がはるか眼下に見えていた。そして丹後山からの稜線が間近に迫ってくると、もうすぐ山頂が近いと感じるためか、気持ちが落ち着いた。
山頂直下から避難小屋と駒ヶ岳を見る
 そして待望の稜線に到着、目の前が一気に開けて目の前には山頂部が尖った荒沢岳の大きな姿が目に入った。そして夏の名残のニッコウキスゲ、秋のはじまりを告げるマツムシソウが混在して登山道脇に咲いていた。傍らの標識には九合目(池ノ段)と書かれていた。

 さて山頂まではあと一息。座り込みたい気持ちを抑えて先に進むことにした。稜線の道は岩場が多くバランスを取りながら慎重に歩いた。そして目の前に避難小屋と駒ヶ岳が見え、さらにひと登りするとそこがまさに待望の中ノ岳山頂だった。
山頂方位盤
 山頂には追い越された男性と犬が待っていた。まずは記念撮影をしてから山頂の構築物を眺めて楽しんだ。まずは花崗岩でできた山頂方位盤、横には緯度経度が記してある。試しにGPSで測定したら、ほとんど同じ?だった。三角点は白い板に囲われており、その板を外さないように注意書きがあった。石祠は駒ヶ岳を向いているのだろうか?三角点の隣に置かれていた。

 一通り見てから、避難小屋に向かった。一旦鞍部に降りてから登りあげるとすぐに避難小屋に到着した。内部は二階建てで比較的清潔に感じられた。外に回ると天水を集めたタンクがあり、底にあるバルブを開けると冷たい水がほとばしり出た。煮沸をすれば十分に飲料水として使えそうだ。

 山頂部分の比較的展望のよいところに陣取って、景色を見ながら大休憩だ。キュウリの漬け物とゆで卵をつまみに、冷たいビールの口を開けた。長かった三国側ダムと通過点の日向山を眺めながらのビールは格別だった。

 下山は八合目付近でスリップ右膝の筋を伸ばしてしまった。暑さと疲労と痛みに耐えながら這々の体で下ることになった。そのがんばりのご褒美なのかクワガタを一匹ゲットした。


ゲットしたクワガタ
「記録」


登山口(十字峡)4:58--(.29)--05:27一合目--(.38)--06:05二合目(千本松原)06:26--(.27)--06:53三合目--(.22)--07:15四合目--(.33)--07:58五合目(日向山)08:15--(.16)--08:31六合目--(.32)--09:03七合目--(.43)--09:46八合目--(.28)--10:14九合目(池ノ段)--(.25)--10:39中ノ岳山頂11:54--(1.20)--13:14日向山13:30--(1.50)--15:20登山口



群馬山岳移動通信/2002