苦労して一山だけ「愛宕山(碓氷郡)」
登山日1995年2月18日


愛宕山(あたごやま)標高1192m 群馬県碓氷郡・群馬県甘楽郡
愛宕山山頂
 「南軽井沢」の地形図を眺めると、上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」付近にまだ登っていないピークがいくつかある。しかもアプローチは短そうなので、いくつかまとめて登れそうだ。そんな中で「愛宕山」が目に入った。平成6年7月1日発行のものは山名があるのだが、それ以前のものには記載がないようだ。これは高速道路が出来た場合、測量をやり直すのでその副産物なのかもしれない。誰か書いていたが、「愛宕山」の山名は実に多い。軽井沢駅の北にもあり、この愛宕山とは直線距離で8kmほどしか離れていないので、なにか混同してしまいそうである。

 2月18日(土)

 ぜいたくをして上信越自動車道「妙義松井田IC」から入り「碓氷軽井沢IC」で下りた。一区間なので500円、碓氷バイパスを通行しても150円なのでたいして変わらない。帰りは一般道で帰る事にするので、さらに金額的には変わらなくなる。料金所を出るとすぐに信号機のある十字路になる。標識には「←下仁田」「↑軽井沢」「松井田→」となっている。なんの疑問も持たずに軽井沢に向けて直進する。思ったよりも周りの山には雪が多くある、これは雪の支度をして登らなくてはいけない。やがて道は峠にさしかかり「松井田町」と「軽井沢町」の境を越えた。峠を越え、下りはじめてすぐに左脇に道がある。林道の様でもあり、別荘地の入り口の様でもある。とにかく入り口には、移動する事のできる簡単な柵が入り口を塞いでいるだけだ。目の前には切り崩した山の斜面の地肌が見えている。車はこの道の入り口に駐車することにした。

 車道を横断して、土手の斜面にとりつく。右手にはインターチェンジ、左手には軽井沢の町を眺める位置関係だ。土手を登りあげると、そこはバラの薮だった。どこを選んでもこの薮を回避する術はなさそうなので、思い切ってその中に入った。おかげで首筋に2箇所ほど引っかき傷をつくってしまい、汗が滲むとヒリヒリと痛んだ。これが終わると今度は笹薮だ。ともかくこの山は道などあるとは思えぬと覚悟していたので、さほど苦には感じない。いったんコルに出て、再び登り出すと比較的歩き易い、雑木の林の中に入った。そしてわずかな時間で山頂に着いた。松の木が一本あり標識はない、展望は碓氷バイパスと上信越道が両方とも見渡せる位置にある。ザックを下ろし、地図を取り出してみる。(なにか変だぞ!)そうだ三角点が無いじゃないか。あわててストックで雪をどかしてみるが、さっぱり三角点標石は見つからない。山頂が南北に長かったので、その山頂部分をくまなく探したが見つからない。結局30分近く雪かきをして遊んでしまった。

落ちついて地図を見てみると、どうやら違うピークにいるらしい。車を止めたところが「和美峠」付近の県境と、思っていたのだが違うらしい。どうやら料金所を出て信号機を直進する道は最近出来たらしく、地図に記載されていない。この道がすべての間違いのもとだったのだ。するとめざす愛宕山は、車を駐車した南に見える山だ。自分がいるところは反対側の北に位置する山だ、しかたないこのピークを下りる事にする。(あとで確認したところ、このピークは「桜堂山」の名前を持つらしい)

 車まで戻り、今度は反対側の稜線に向かって歩き出す。いきなり雪の急斜面の登りである。北斜面の為に雪深く、なかなかうまく登れない。脇では車がひっきりなしに走っている。車からみれば、妙な所で雪の斜面と格闘している巨体の男の様子は、さぞかし滑稽だったに違いない。何とか尾根に着くと、そこにははっきり分かる、道がつけられていた。

 道は歩き易く、快適だ。しかし何の為なのか長野県側には、かなり古く錆び付いた有刺鉄線が張られている。牧場でもあったのだろうか、それとも私有地の境界を示しているのか、ともかく今ではあまり意味の無いものだ。

 突然目の前に人工の構築物が現れた。それは群馬県側の斜面にコンクリートを吹き付け、土砂崩れ防止を計ったものだ。斜面全体が固められて、キレットのようになっており、一木一草生えていないのはなにか不気味だ。さて困った、どうやってここを通過しようか。コンクリートの壁だから掴むところが無い、当然足を掛けるところもない。目を凝らしてみると、長野県側のコンクリートの固められていない場所に、階段があるではないか。ヤレヤレ助かったと、その階段を通りいったん斜面を下り、また登り返した。

 道は雪が深くなったが、さほど苦戦を強いられるほどではない。そして楽しみながら雪道をたどると、愛宕山山頂に着いた。こんな簡単な山のために、苦しんだとは情けない。山頂にはおなじみのブリキ板の山頂標識、そして待望の三等三角点が鎮座していた。三角点の傍らにはダンダラ棒あり、赤白のツートンカラーの旗が2本とりつけられていた。展望は潅木に遮られてあまりすっきりしていないが、その間から白銀の峰が遠くで光っているのが望めた。

 山頂では1200Mhzで、HIGと交信出来たので安心してスイッチはOFFとした。本来なら今日はほかにも登りたい山があったのだが、なぜか気分が乗らないので、一山で切り上げる事にした。KQAなら今の時間に起き出して、行動を起こすのだろうな、と思いながら下山した。


「記録」

林道入り口10:00--(.15)--10:15コル--(.11)--10:26無名峰(桜堂山)10:53--(.11)--11:04林道入り口--(.14)--11:18コンクリートの壁--(.16)--11:34愛宕山山頂12:37--(.15)--12:52林道入り口



                      群馬山岳移動通信/1995/