ひなたぼっこに最適「蟻川岳(中之条)」
登山日1997年1月26日


蟻川岳(ありかわだけ)標高789m 群馬県吾妻郡
蟻川岳山頂から見る嵩山
 先週の林道歩きで足にマメが出来てしまったので、簡単な山に出かけることにした。場所は以前から気になっていた、吾妻郡中之条町の「蟻川岳」である。近くにはハイキングコースが整備されている「嵩山」がある。地形図で見ると立派な独立峰で、嵩山よりも標高が64メートル高いのである。

 1月26日(日)

 中之条町に入り、標識に従って「大道」方面に向かう。途中で左に農免農道が分かれ、標識には「蟻川・岩本方面」の文字が見えた。地形図を頼りに、どこから登るべきか周辺を車で探すが、なかなか適当な場所が見つからない。結局、蟻川岳の南西方向にあたる農免農道に車を止めることにした。近くには「蟻川400」の表示のある電柱が立っていた。

 道路を横断して、ヒノキの幼木の植林地に入ると、道はないが何となく東の方角に曲がって、歩くようになっていく。するとひょっこりと、広い農作業道に飛び出した。さらにその道を詰めると、舗装された農道を横切って、墓地の横を抜けて林の中に入る。すると直ぐに竹林に入る事になった。竹には赤テープが巻いてあるところを見ると、どうやら物好きな登山者が入り込んでいると思われる。

 緑色の眩しい竹林を抜けると、藪の中にしっかりとした道が上部に向かって伸びている。その藪も高度を上げるに従って広葉樹の林に変化して、その隙間から展望を楽しむことが出来る。特に振り返ると榛名山のピークと、近くの「十二ヶ岳」付近が朝の光の中に浮かんでいる。そんな中を登っていくのは実に気持ちのいいものだ。

 ふと、視線が気になったので木立の中を見るとカモシカが、こちらを見つめていた。中之条は実にカモシカと頻繁に出会うことが多い。カモシカと遭遇してからひとしきり登ると、ちょっと平らになった場所に到着した。そこには石碑と石祠が、ひっそりと建っていた。石碑には植林関係の事に付いて書かれていることが、その難しい書体の中の断片的な雰囲気から読みとれた。

 ここからも相変わらず道はしっかりしていて、迷うことはなさそうだ。眼下の民家や田畑が、雪の輪郭に縁取られてなんとも、のどかに感じられる。こんな気持ちはかつて「王城山」に登った時に感じた。このときは「ふるさとの裏山」と表現したが、その気持ちが再び思われた。そして、歩き始めて一時間ほどで石祠があるピークに到着した。

 蟻川岳は双耳峰になっており、最初に着いたところは三角点のない東のピークだ。ここからは一旦、鞍部に降りて再び登り返すと、三角点とダンダラ棒の立っている山頂にたどり着いた。山頂標識は全くなく、石像と石祠が西から登ってくる登山道を見下ろしていた。展望は間近にある「嵩山」がその特異な形からよく目立つ。さらに目を転じると高田山が意外と大きく立派にそびえている。

 山頂は雑木が刈り払われて、明るい日差しの中にいると眠気が襲ってくる。実に気持ちの良い山頂で、今までガイドブックに紹介されていないのが不思議なくらいだ。無線の方はあまり芳しくなく、粘って50Mhzでやっと一局見つけて、QSOを成立させた。その間、ほとんど座り込んで居眠りをしていたと言った方がいいかも知れない。

「記録」

 農道07:59--(.15)--08:14竹林--(.14)--08:28植林記念碑--(.22)--08:50東峰--(.08)--08:58山頂10:24--(.33)--10:57農道


                      群馬山岳移動通信/1997/