高水三山は天皇陛下が新婚時代に登られている。このことを知ったときからいつかは登って見たいと思っていた。しかし、奥多摩の低山にわざわざ出かける気にはならなかった。しかし、高齢となり体力も衰えていることから、このあたりが潮目と思うようになった。 1月17日(水) 群馬県民は電車に乗る習慣がなく、常に車での移動を考えてしまう。しかし、問題となるのは駐車場で、起点となる軍畑(いくさばた)駅には駐車場が見当たらない。そこで、少し離れたところにある「青梅柚月苑」に車を置くことにした。情報によればここは午前7時に開場とあった。しかし、到着したのは10分前だったがすでに開場しており難なく入ることができた。ここは外周に沿って停めるようになっており、中央部は空けておくようになっているらしい。またトイレは清潔に保たれており気持ちがいい。 念の為にチェーンスパイクをザックに入れて歩き出す。(結果的にはチェーンスパイクは全く不要だった)朝の光を受けて多摩川にかかる軍畑大橋を渡り対岸に出る。ここから軍畑駅までの坂道はとてつもない急坂となっていた。真冬にもかかわらず、すぐに背中が汗ばむほどだ。前方を歩く年配の女性は通勤なのだろうか?見る間に話されていく。やはり毎日歩いているのだろう、ペースも乱さずに歩いている。 軍畑駅は小さ無人駅で、一息入れてから線路沿いに歩いて踏切をわたる。ちょうど踏切の警報機が吹鳴する。見れば軍畑駅に電車が到着して出発を待っている。このまま踏切前で電車を見送ってから先に進んだ。不案内な土地だが標識がしっかりしているので迷うことなく県道を進んでいくことができた。途中にある高源寺に立ち寄り一息入れてから再び歩き出す。車道はところどころ凍結している場所もあり、ちょっと緊張して歩いた。やがて釣り堀があり、車道はここで終了していた。ここから先は本格的な登山道となる。
ますは、堰堤の上部に上るための階段を昇らなくてはいけない。階段を上りあげると鬱蒼とした杉の植林地となる。単調な杉の植林地を九十九折の道に沿ってひたすら登る。やがて尾根上の場所に到着、展望はないがここでしばし休憩とする。ここからちょっと進むとベンチがあったが、二人の登山者が休憩中なので、そのまま通過することにした。道は相変わらず杉林の中を歩いていく。道はほとんどの部分で階段が作られてよく整備されていた。道がなだらかになるとやっと人心地つくことができた。そこから常陽院という寺までは僅かだった。 寺の山門に通じる階段の中央部には日章旗が立てられていた。この日章旗は裏側から見ると旭日旗となっており、なかなか良きアイデアと思う。階段を登ると山門となり両側には不動明王が睨みをきかせていた。山門をくぐり寺の庭に出るとベンチが置いてあったので、ザックを下ろして持ってきた白湯を呑んで温まった。 常福寺を過ぎて斜面を登ると東屋があった。日当たりもよくここで休憩すればよかったとちょっと後悔した。この東屋から僅かな距離で高水山山頂となった。山頂からの展望はほとんどなく高水三山の名前を戴いている山としてはさみしいものだ。早々に切り上げて山頂をあとにした。
高水山からは急傾斜の斜面を一気に下る。それもわずかで立派な登山道となる。それにほとんど平坦でとても歩きやすい。程なく標識があり岩茸石山を巻く道と山頂を目指す道に分岐する。当然ながら山頂を目指す道を選択する。巻き道を選択する者がいるのだろうかと疑問に思う。斜面にジグザグにつけられた道を我慢して登ると展望が開けてそこが岩茸石山の山頂だった。山頂は細長く北方面の展望が開けていた。この辺の地理に詳しくないのでスマホの「AR山ナビ」を立ち上げても山の名前がしっくりと来ない。それでも西方向に白くなった雲取山をわずかに確認することができた。また当然ながら奥秩父と西上州の山が意外と近くにあることが再認識できた。山頂は平日にも関わらず次々に登山者がやってきて、一時的には10人ほどが集まる状態だったが、山頂が広いのでそれほど窮屈には感じなかった。岩茸石山でゆっくりと時間を過ごしてから山頂を発った。 山頂から少し進むと道は左の急斜面を下降することになる。岩場を慎重に下ると僅かな距離で再び道は平坦となりどんどんと距離を稼いでいく。やがて広大な伐採地となり、ここからの展望は素晴らしいものだった。高水三山の山頂からの尾根が平地に向かって延び、それが幾重にも重なって見事な景観をなしている。尾根の末端は大都会の街並みが見えて、おもちゃのブロックを撒き散らしたようになっている。 この伐採地を過ぎると惣岳山の登りとなる。惣岳山の登りはこのコースの中で最もスリリングである。それは岩場の通過があるからだ。慎重に確実に登っていくと山頂に到着だ。惣岳山の山頂は展望がなく、金網に覆われた小祠があったがここに留まる必要もないのでそのまま通過した。 惣岳山からの道はよく踏まれたどんどん下降する。総じて高水三山は杉の植林地となっており、杉花粉の季節はものすごいことになることが予想される。途中で沢井駅に向かう道が分岐するので迷ったが、御嶽駅に向かうことにする。この辺の地理に疎く少しでも有名(?)な場所を見ておきたいと思ったからだ。分岐からの道も第一級の登山道なのだが、木の根が露出しているところが多く、雨の日は滑るのでかなり危険と思われる。
御嶽駅には12時8分に到着、次の電車までは40分近くあるので、駅前の中華食堂で味噌ラーメンを食べて電車を待った。電車に乗って二駅、5分間の乗車で軍畑駅に到着。ここから冬の日差しを浴びながら駐車場に戻った。
高水三山は高尾山の次に初心者が登るべき山なっている。しかし、ハードルはかなり高いように感じる。いや自分の老化が進んでいるということかもしれない。 青梅柚月苑地P07:22--(.09)--07:31軍畑駅--(.33)--08:04高源寺08:07--(.11)--08:18堰堤--(.58)--09:16常福寺09:24--(.08)--09:32高水山09:36--(.23)--09:59岩茸石山10:23--09:59--(.34)--10:57惣岳山11:01--(1.07)--12:08御嶽駅12:48==(.05)==12:53軍畑駅--(.10)--13:03青梅柚月苑地P 群馬山岳移動通信/2025 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |