奥多摩の三頭山は群馬からではかなり遠方となる。なにしろ車で片道3時間というのが大変で、むしろ北アルプスのほうが近いとさえ思えてくる。しかしながら、高齢者は急峻な山は遠慮したいので、登山道が整備されている東京都の山を今回も選んだ。 5月13日(火) 関越道あきる野ICから檜原村に向かって進んでいく。ところがスクールバスの後ろについたものだから、法定速度以下でノロノロと行くものだからストレスが貯まる一方だった。なんとか檜原都民の森駐車場に到着したときは午前7時ですでに歩き出している人もいた。広い駐車場は10台ほどがあるだけなので閑散としていた。予報では快晴のはずなのだが、雲が多いような気がする。 支度を整えて駐車場から茶褐色の舗装の道を歩いていく。ほどなく「ミニ森林館」という施設があり、その脇にある階段を上って行く。森林館の裏手からはウッドチップが敷き詰められた遊歩道を進んでいく。ヤマシャクヤクの群生する場所を過ぎて鬱蒼とした森の中を歩いていく。ほとんど水平に歩いていく感じだ。やはり東京都が管理する場所だけあって実によくできているコースだ。ちょっと汗ばむ頃に三頭大滝に到着する。ここには滝が見やすいように対岸まで続く立派な橋がかけられている。この橋の上からは三頭大滝が間近に見られるようになっている。三頭大滝は落差35メートルというもので見応えがある。この時期は新緑との組み合わせが素晴らしくしばらく見とれてしまった。近くには休憩所とトイレがあったがあまり利用したくなるようなものではなかった。
道はなんとなく登山道らしくなり、沢に沿って登っていく。道の途中には案内板や樹木の説明書きがあり楽しませてくれる。それにしてもこの沢沿いの道は、石が敷き詰められていかにも人工的な感じがする。ところがこの石は苔があり油断をすると滑るのだ。天候が悪いときの下山路としては使いたくないと思った。 沢から離れて徐々に高度を上げていくとムシカリ峠に到着する。その名の通りムシカリの白い花がちょうど見頃といったところだ。このまま三頭山に向かうのももったいないので、大沢山に立ち寄ることにする。ムシカリ峠から数分で避難小屋に到着する。避難小屋はきれいに保たれており、トイレも掃除が行き届いていた。これならば宿泊しても良いと考えるが、それは禁止と書いてあった。 避難小屋から樹林の中を歩くと僅かな時間で大沢山に到着する。展望は南西方面が切り開かれている。山頂でしばらく時間を過ごしていると切り開かれて方角に、富士山の真っ白な山頂部分が見えた。この切り開きは富士山を見るためだったようだ。富士山が見えたことでちょっと気持ちが高揚したが、すぐに雲に隠れてしまった。
大沢山からムシカリ峠にもどり、三頭山までの急斜面に取り付くが、僅かな時間で三頭山(西峰)に到着だ。この付近にある大きな石柱の標識がデンと鎮座している。山頂は広くベンチが数か所設置してある。山頂はすでに4人ほどが休んでいたがベンチは余っている状態だった。その一角のベンチに腰掛けて菓子パンを食べて大休憩とする。 三頭山は3つの峰があり西峰は東京都西多摩郡、山梨県北都留郡、上野原市と接している他のピークは完全に東京都西多摩郡である。この西峰が一番展望が良いというが、あいにくと天気があまり良くないのでその恩恵は得られなかった。次は中央峰で標高が一番高い、そして三角点がある東峰と歩いていくがその距離はわずかで独立したピークという感じはない。東峰のところには展望デッキがあるが、これまた展望を楽しむことはできなかった。それでも今を盛りのミツバツツジの花がむせ返るように咲き誇り彩りを添えていた。 東峰からはもったいないほどの下降となる。せっかく登り上げた標高をあっさりと消滅させるようなものだ。途中に何度か分岐があるが、ともかく下降するしかないだろう。登山道途中でちょっと登り上げるところがあり、そこは見晴らし小屋となっていた。たしかに広いデッキがあり、快適な場所に違いがない。なんとここには担架まで配備されており、東京都の心配りがうかがえる。 見晴らし小屋からは急坂をどんどん下降する。ここも途中に何度か分岐があるが地形図を見てもよくわからないが、行き着く先は一緒なので適当に進んでいく。そして鞘口峠に到着する、ここはデッキがあるが、老朽化しているので使用禁止ということだ。ところでこの鞘口峠の呼び名だが、地形図には(さや)とルビが振ってある。ところがガイドブックには(さいぐちとうげ)となっている。付近にはサイグチ沢と呼ばれる沢があるので、ガイドブックの方に分がありそうだ。鞘口峠から駐車場までは僅かなのだが、時間があるのでもう少し足をのばして砥山経由で戻ることにする。
鞘口峠から急斜面の道を登る。この道はあまり歩かれていないようで静かなものだ。登り上げたところは栂ノ尾と呼ばれているが、何の変哲もない場所だった。さらに新緑の道を進んでいくと顕著なピークが見えてくる。そのピークが砥山で、手製なのだろうか標識が立っていた。展望はなく、山頂らしくない場所だった。この砥山も砥沢峰の別名があるがこれは砥沢という沢があるからなのだろう。ここから駐車場までは僅かなので、ゆっくりと大休憩をすることにした。 砥山からは休斜面に付けられた道を下降して、朝とは違って喧騒の駐車所に到着した。
群馬山岳移動通信/2025 |
この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号) |