ずっと富士山を観ながら歩く「御坂黒岳」「釈迦ヶ岳」
登山日2024年1月23日


セカンドテラスから河口湖と富士山

破風山(はふうさん)標高1674m 山梨県笛吹市・南都留郡/黒岳(くろだけ)標高1763m 山梨県笛吹市・南都留郡/府駒山(ふこまやま)標高1562m 山梨県笛吹市/釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)標高1641m 山梨県笛吹市
冬の季節はアクセスに雪の心配がない地域を選ぶことになる。こんな時期は富士山を見に行くのが最適だ。今回選んだのは黒岳なのだが、黒岳というのは各地にあり今回の目的地は「御坂黒岳」と呼ばれている。

1月23日(火)
自宅を4時半に出発し河口湖畔の大石公園に立ち寄る。時刻は7時とちょうど日の出の時間となっていた。日の出の瞬間を待つ多くの人が湖畔で待っていた。あいにくと鮮やかに染まった富士を見ることはできなかったが、美しい富士山が観られたことで、今日は素晴らしい一日になると確信した。河口湖から上芦川のすずらん群生地駐車場までは30分程かかる。若彦トンネルを抜けて大きく右に曲がるとすずらん群生地への道となる。道には積雪もなく順調に目的地に到着だ。

広いすずらん群生地駐車場には、車が一台あるだけで閑散としている。これがすずらんの開花時期ともなれば大混雑となるのだろう。ゆっくりと支度を整えて車道を歩き出す。車道はブラックアイスバーン状態なので、道の端を選んで歩くしかない。ストックは保護キャップを外して石突きを出して進むことにする。やがて道は二分してゲートが現れ、この先は一般車両は通ることができない。ゲートの先は「FUJIYAMAツインテラス」という観光施設で、シーズン中はバスが運行されているとのことだ。ゲートから単調な林道を40分ほど歩くと舗装された林道は終了となり、ここからはよく整備された階段の道となる。

階段を5分程歩くと新道峠となる、ここには立派なツインテラスと名付けられた観光施設がある。広い展望デッキが設置され、そこからは眼前に河口湖と富士山が絶妙な配置で広がっている。この日は風もなく暖かい日差しがデッキの上に降り注いでいる。誰もいないことを幸いにあちこち動き回って写真を撮りまくった。このセカンドテラスから先にあるのがファーストテラスだ。こちらのほうが広く更に開放的で、こんな素晴らしい条件の日にここにいることがとてつもなく幸せだ。


河口湖大石公園

広い駐車場にポツンと

林道はブラックアイスで覆われていた

ここから通行止め

林道終点(シーズン中はここまでバスが入る)

階段を登る

新道峠(セカンドテラス)

河口湖の左奥に山中湖

ファーストテラス

絶景を独り占め

観光地そのもの


ファーストテラスにしばらくとどまっていたい気持ちを残して先に進む。

緩やかに道を登っていくと破風山の山頂に到着する。山頂はなんの標識もなく展望もなく地図を見ながら意識していないと通過してしまう場所だった。破風山から下ったところがすずらん峠で道標があっちこっちを向いて行き先を指していた。ここからは本格的な登りとなり、ところどころ雪が見られるようになってきた。ここで初めて登山者とすれ違った。どうやらどんべい峠から登ってきたとのことで、そちらの凍結状態の情報を頂いた。

傾斜が強まり喘ぎながら登っていくと黒岳の山頂だ。一等三角点が有るがその割には展望は全く良くない。標識があり「富士山・河口湖が展望できる場所あり ←200m」とあるので、そこに移動する。ほとんど水平移動でその展望台に到着した。展望台には女性二人が休憩中で、ここでも情報交換。最短距離ですずらん峠に登りあげて、このままピストンで下山するとのこと。彼女らが去ったあと菓子パンと白湯でお腹を満たして絶景を堪能しながら暖かい日差しを浴びて休憩した。


破風山山頂

すずらん峠

黒岳山頂

展望台から

展望台から

展望台から往路を振り返る


さて、黒岳を辞して日向坂峠に向けて下降を開始する。このルートは北斜面となるので、チェーンスパイクを装着した。これは正解でスリップすることもなくどんどん標高を下げていくことができた。幸いにも踏み跡がありルートを見失うこともなく下降できた。下降したところは分岐となっており、標識には上芦川とあった。上芦川への雪道は踏み跡があったが、日向坂峠に向かうルートは踏み跡が少なく(1名程度)なのでちょっと不安になる。雪はそれほどではないので、ここでチェーンスパイクは外しておくことにした。ふたつほどコブを越えると下降気味となり、登山道のすぐ下に舗装された林道が見えるようになった。どんどん先に進むと、その林道が登山道を寸断して横切った。ここが日向坂峠(どんべえ峠)だった。車道は施錠されたゲートが有り閉じられていた。

日向坂峠から一本調子で途中ですずらん群生地の道を分ける。帰路はここから駐車場に下降することになるので、地形図で確認しておくことにした。どんどん登っていくと府駒山に到着したが、標識がなければ通過してしまう場所でも有る。設置された三等三角点の点名はなんと「釈迦岳」である。肝心の釈迦ヶ岳には三角点は設置されていない。

府駒山からは嫌になるほどのコブを越えて高度を上げていく。眼の前の釈迦ヶ岳の鋭鋒がいつになっても近づかないような感じを受ける。展望はほとんどなくひたすら歩くしかない。

釈迦ヶ岳の山頂が近くなると、岩場が出てくるロープが設置してあるが、登りでは不要なものだった。もう嫌と言う段になってひょっこりと山頂に飛び出した。まずは二体のお地蔵さんと富士山だった。ここまでは良かったのだが、山頂には5人ほどの団体が占拠しており、ザックやストックを散乱させて、ずっと甲高い声で喋りっぱなしである。これはたまらんとアンパンを食べて写真を撮って引き上げようとしたら、団体もザックを担ぎ始めたので、そのタイミングを失ってしまった。しかし、なかなか出発しない、結局イライラしながら30分も一緒に過ごすことになってしまった。団体が去った後、やっと静かな山頂でゆっくりできた。

それにしても素晴らしい展望で遮るものが全くない。くっきりと富士山、南アルプス、雲がかかった八ヶ岳、連なる山嶺の奥秩父の山々がなんとも素晴らしい。

下山は苦しかった岩場も難なく下降し、駐車場に戻った。


黒岳から下降

北斜面は雪が多い

日向坂峠(どんべい峠) アイドルとカップ麺の名前みたい


府駒山

釈迦ヶ岳は遠い

ちょっとした岩場が数か所

山頂直下

釈迦ヶ岳

白峰三山

素晴らしい展望


車道に降りると駐車場はあとわずか

すずらんを模した街灯


07:59駐車場--(.56)--08:55舗装林道終点--(.06)--09:01新道峠09:24--(.18)--09:42破風山--(.08)--09:50すずらん峠--(.37)--10:27黒岳10:58--(.26)--11:24上芦川分岐--(.24)--11:48日向坂峠(どんべい峠)11:56--(.26)--12:22府駒山--(.39)--13:01釈迦ヶ岳13:40--(.27)--14:17府駒山--(.15)--14:32すずらん群生地分岐--(.16)--14:48駐車場

群馬山岳移動通信/2024


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)