大展望を楽しむ「京ヶ倉」「大城」 登山日2017年2月25日



京ヶ倉から北アルプスの大展望と蛇行する犀川の流れ

剣刷山(榾山) けんすりやま(ほだやま)標高 950m 長野県生坂村/京ヶ倉(きょうがくら)標高990m/大城(おおじょう)標高919m 


長野県生坂村のHPによれば、「京ヶ倉」からは北アルプスの大展望と、眼下に蛇行しながら流れる「犀川」の組み合わせが見事とのことだ。前から行きたいと思っていたが、3週間前に「等高線の狭間から」の旅人さんが登っているので、その思いが一層強くなった。この旅人さんの記録を参考にして、左回りの周回コースを辿ってみることにした。

2月25日(土)
自宅を朝5時に出発して生坂村の「村営やまなみ荘」には7時半ごろに到着した。この施設の駐車場に車を置こうとしたが、あいにくと満車に近い状態だ。そこで少し戻って「B&G生坂海洋センター」の広い駐車場に置くことにした。この駐車場は近くに公共施設も多いことから、その一部なのかもしれない。

生坂小学校を目指して勾配のきつい車道を登っていく。この付近、民家は多いのだが道に人の気配は感じられない。自分の登山靴の音だけがこの場所に不釣り合いな響きを立てているようだ。生坂小学校は広い校庭の隅にわらぶきの小屋が建ててあるが、何のためなのかわからない。やがて道は平坦になり、振り返ると北アルプスの山並みが見えるようになってくる。生坂村はいたるところに説明板があり、よそ者にとってはこれを読むだけでも楽しい。そんな中で松並木と表示された場所があるが、松の木は見られず残念だった。その先には「石仏群7基」があるが、ここの社の藁葺きの技は見事なものだ。藁を編んでそれを細かく束ねて葺いているのだ。正月に葺き替えるという事だが、この伝統の技が続いていることが驚きだ。

道はやがて柵に突き当たる。イノシシやシカなどが里に侵入するのを防ぐためのものだが、なんとも立派なものなので驚く。柵に施錠はしておらず鎖を巻きつけただけなので、人間は簡単に柵を開けて中に入ることが出来る。墓地を過ぎると作業小屋があり、周辺は薪が積み重ねられていた。林道の道なりに歩いていくと立派な案内図がある登山口に到着する。駐車余地もあり、京ヶ倉の往復だけならば、ここに駐車して登ればかなりの時間短縮になる。近くには簡易トイレがあるが、冬季は使用禁止となっていた。またその方向には新生山という道標があったので、ちょっと様子を見ようと進んでみたが、それらしきピークが見当たらないので、すぐに引き返した。

登山口からはトラバース気味に歩いていくが、やがて傾斜が強くなり登山道らしくなってくる。この付近は伐採された松が多くありマツクイムシの被害が深刻なことをうかがうことが出来た。道はよく整備されており、迷うこと無く進んでいくことが出来る。標高をあげるとマツクイムシにやられた赤松が少なくなるのか、古木が多くなるように感じる。それもこの登山道わきは気象条件が厳しいのかもしれぬが、横に枝を伸ばしているものが多い。


生坂海洋センターの駐車場を起点とする

京ヶ倉登山口の標識あり

生坂小学校の校庭

石仏群7基

毎年正月に葺き替えてる

柵を開けて左に進む

万平の登山口


登山道は雪が無いのだが、一部分では凍結している。そんなところに無防備で乗ったら取り返しのつかないことになる。軽アイゼンを持ってきたのだが装着しようか迷っているうちに、とうとう終日に渡って使わずに済ましてしまった。ストックもザックに付けたままで使うことは無かった。そんなものだから凍結部分を迂回して通過するためにちょっと時間がかかってしまっている。

「おおこば見晴らし台」からの展望は素晴らしく、北アルプスの蝶ヶ岳、常念岳、大天井岳と一望だ。「犀川」を堰き止めた「生坂ダム」があることで、「犀川」の流れる水面は川幅を広く見せている。ここからの展望は四季を通じて楽しめるのではないかと思う。そして気になったのは、隣の「池田町」にある「継子(ままこ)おとし」と呼ばれる場所だ。崩落が進んだ山肌が伝説の登場人物に似ているからだ。なんとなく正視できない怖さを持っているように思える。

「おおこば見晴らし台」からは道を左にトラバース気味に辿ってから、稜線に登りあげるようになる。この付近トラロープが設置してあるので大いに利用させてもらう。しかし、このトラロープが無いところに限って登山道が凍結していることが多いようだ。そんなときは仕方なく道を外れ、凍結箇所を避けながら進むしかない。稜線に登りあげるとそこは太陽の光が降り注ぐ快適な場所だった。ここから、稜線伝いにほぼ水平に歩いていく。10分ほど歩くと「巻道」と「馬の背」の分岐点となる。はて?こんなところがあったのかと、旅人さんの記録を見ると、「剣刷山」に立ち寄らなかったことに気が付いた。せっかくここまで来たのに・・・仕方ない戻ることにした。


常念岳は美しい

かなり痛んできた梯子

おおこば見晴らし台からの展望

常念岳と手前は継子(ままこ)落とし

継子落としはなんだか人の顔に見える
(恐ろしい伝説がある)

凍結しており微妙に怖い

稜線に到着

再び稜線に登りあげたところに到着、振り出しにもどり、「剣刷山」に向かう事にする。それもわずかに登り上げると、ちょっとした高みに出る。ここには標石があり「○廣東(○は欠損していて読めず)」とあった。おそらくマツタケ採取の縄張りを示すための標石と思われる。読み方は東廣津という地名だと思われる。さらにその先に進むと立木に「剣刷山・榾山」を併記した札が置いてある。この場所から少し離れたところに岩峰がありそこからの展望を期待したが、実際には立木にさえぎられて展望は良くなかった。




東廣津の文字が読める

ここは茸山(アカマツが多いわけだ)

剣刷山

展望するのに適した岩場

再度「巻道」と「馬の背」の分岐点に到着する。ここは当然、「馬の背」を選択することにする。わずかに進むと視界が開けて「馬の背」に到着する。ここからの展望は絶景で、北アルプスの山頂部分が雲に隠れてしまっているが、間近に見られる。そして「犀川」の蛇行した流れは、草書文字を見るようだ。振り返れば霧ヶ峰、美ヶ原、八ヶ岳、聖高原と飽くことの無い展望を楽しむことが出来る。思わずここで長居をしてしまうことになってしまった。この「馬の背」は名前の通り周囲が切れ落ちているが、さほど危険は感じない。昨年はここで滑落事故が発生して1名が死亡、それを助けようとしたもう一名が重傷となる遭難が発生しているという。今日は幸いに積雪は無かったことが通過を容易にさせたかもしれない。

「馬の背」を過ぎて「トド岩」を過ぎるとロープが頻繁に現れる。中には古くて怪しいものもあるが、今のところは信頼できる強度を持っているようだ。そしてほどなく「京ヶ倉」山頂に到着することが出来た。山頂には三角点のような標石があり「京ヶ倉」の文字が刻まれている。展望は先ほどの「馬の背」には及ばないものの「犀川」の流れを楽しむことが出来る。ほどなくして男性の単独行登山者が到着した。松本から来たというこの人は山慣れた感じであった。この人は来月実施されるロゲイニング大会の下見に来たという事だ。「京ヶ倉」をピストンで帰るという事で私よりも先に下山して行った。



当然、馬の背を選択




馬の背からのパノラマ右のピークは京ヶ倉


馬の背から見る展望は最高だ


トド岩から聖山とたら原山


梯子が続く


京ヶ倉山頂


京ヶ倉から大城

さてここから「大城」に行くのだが、いきなり道が凍結しておりツルツルの状態だ。仕方なく軽アイゼンを装着しようと思ったが、よく観察すると藪に掴まって道の脇の斜面を下降することが出来そうだ。落ちてもたいしたことは無いだろうとの判断で進むことにした。下降してみると危ないのはここだけで、その先は凍結場所があっても道を巻くことは容易であった。この付近もアカマツが豊富で足元は松葉で覆われている。遠くから見た「大城」はかなり困難な屹立したピークだと思ったが、登ってみるとさしたることは無く登れてしまった。

到着した場所は「大城城址」で、地元では「大城」と呼んでいるらしい。地形図の「大城」はこの先の三角点を指しているので紛らわしい。この「大城城址」は北アルプス方面の展望が悪く、反対に八ヶ岳方面の展望に優れている。ここには丸太のベンチがありここに座ればその展望を楽しむことが出来る。久しぶりにラーメンを持ち上げてきたのでゆっくりと食べることにする。しかし箸を忘れてきてしまったので、ツツジの枝を拝借して食べる羽目になった。

大休憩をしてから、「大城城址」を発つことにする。しっかりとした登山道を進んでいくと三角点がありご丁寧に標識が設置されていた。ここが地形図の示す「大城」だが、先ほどの「大城城址」のほうがピークとしてふさわしいと思う。さらに進むと「はぎの尾峠」に到着する。解説板には入山地区の子供たちが生坂の小学校に通学する道だったという。雪の降った時などはどうしていたのだろう。旅人さんの記録を見ると、この解説板に心ゆすられてこの「はぎの尾峠」から下山している。その気持ちはよく解る気がする。

「はぎの尾峠」からさらに先に道は続いており、その道を辿って先に進んだ。鼻歌が出るような快適な道でこのままずっと歩きたくなるようだ。すると突然目の前に立派な東屋が見えてきた。このような施設があることを知らなかったので、ちょっと驚いた。東屋の近くには丸太を組んだ馬所がある。なんだろうと近くに行って覗き込むとそこはトイレだとわかった。屋根は無いから青空を見上げて快適に仕事をこなせるだろう。東屋に戻るとポストが設置されているのみ気が付いた。アンケートを募集しており、記入後投函するようになっている。このポストは鍵がついているのだが、投函口から容易に手を入れて見ることが出来る。去年の夏のアンケートが回収されていないので、結局は管理されていないという事なのだろう。

この東屋から先は立派な道が下降している。その起点には立派な看板があり「グレースの森」とあり、説明文が書かれてあった。有名ソムリエが関わっているらしいが、これが何のためなのか意味は不明だった。そして道を辿って下降を始めたが、どうも様子がおかしい。「眠峠」に向かっていないのだ。ふたたび起点に戻りルートを確認するが道形は見つけられない。こうなればしかたない「グレースの森」の看板が邪魔だが、後ろに回り込んで藪と化してしまった方向に進むことにする。



大城城址で昼食

地形図で大城と記されている三角点

はぎの尾峠

突然東屋が現れる

丸太で囲われた場所(屋根は無い)

トイレでした

グレースの森

藪の中をかき分けながら進んでいく。確認のために地形図の852m標高点を通過してから「眠峠」に下降していく。藪はさしたる困難もなく「眠峠」に到着した。何とかこうしたところは舗装された林道であったが、車の轍は見られない。「眠峠」の解説が書いてあるが、「眠」は曲がりくねったという意味があるらしい。時刻はまだ早いので、この林道を上部まで登ってみることにする。

林道上部は携帯電話の基地局があり、道の反対側は送電鉄塔が立っていた。ただそれだけで見るべきものは何もなかった。ちょっと期待していただけに何か物足りないまま林道を戻り、再度「眠峠」に到着し、そのまま林道を先に進んだ。ところが、林道はすぐに終点となり途切れてしまった。そしてその終点には「眠峠」登山口の標識が現れた。車でここまで来た場合は、ここに駐車して道をそのまま進むのが正解らしい。それが証拠にさらに進むと「グレースの森」から来たと思われる道と合流した。「グレースの森」から「眠峠」に行くには今回歩いた藪ではなく、素直に下降して道が合流したら、下降するのではなく登るという事になりそうだ。

道はそのままもったいないほど一気に下降していく。イノシシの掘り返した跡が延々と続きジグザグに下降すると舗装された林道に到着した。この林道をそのまま上って行けば、おそらく「眠峠」に通じるものなのだろう。

この林道を辿り、獣除けの柵を開けて村内に入る。田圃や畑の中をのんびりと歩き、 で直角に曲がり道なりに歩いて行く。途中で確認しなくてはならないものがある。それは旅人さんが雪上に見た筋のような痕跡だ。何かの足跡にも見えるがそれが分からない。竹林の近くに雪が残っていたのでウロウロと探し回ったが、もう時間が経過していることもあり、それは確認することが出来なかった。旅人さんのような注意深い観察眼を持って、足元にも興味を持たなくてはと思う。


眠峠への踏み跡は無い

眠峠

林道を上部までたどってみる

戻って眠峠登山口

のんびりと歩く

国道19号を離れて昭津橋を渡る

犀川に沿って歩く

この橋を渡ればもうすぐ起点に戻る
背景は京ヶ倉

国道19号のガソリンスタンド前に出て、そのまま国道の車の流れが怖い。そこで昭津橋を渡り対岸の道に出てから犀川の流れに逆らって歩いていく。この道は途中が全面通行止めになっていることもあり、車の通行が極端に少ないこともあり安心して歩くことが出来た。14時ごろアナウンスがあり「生坂ダムの放水で増水するので云々」と言っていたので、川の流れを注視したが見た目には変わることは無かった。「生坂橋」を渡ると今まで歩いてきた「京ヶ倉」「大城」の岩稜が一望となった。標高1000mに満たない里山と言われるが、けっして生易しい山ではないと感じた。ただし登山道が凍結していなければ快適な登山道となるのかもしれない。

駐車場に着くと、朝と同じように閑散とした状態だったので、ゆっくりと荷物を解いてから、「やまなみ荘」の風呂に入ってから帰途についた。



生坂海洋センター駐車場07:49--(.14)--08:03生坂小学校--(.11)--08:14柵--(.07)--08:21登山口--(.53)--09:14おおこば見晴台09:23--(.19)--09:42稜線--(.07)--09:49馬の背分岐(戻る)--(.11)--10:00剣刷山10:05--(.09)--10:14馬の背分岐--(.24)--10:38京ヶ倉11:00--(.14)--11:14大城11:51--(.28)--12:19三角点--(.12)--12:31グレースの森12:35--(.18)--12:53眠峠--(.10)--13:03林道上部--(.17)--13:20林道終点--(.16)--13:36林道--(.15)--13:51大城登山口--(.07)--13:58国道--(.05)--14:03昭津橋--(.30)--14:33駐車場


群馬山岳移動通信/2017

この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)