これが限界の山歩き「鏡台山」「天狗山」(榛名)
登山日2022年5月28日


天狗山からの展望

鏡台山(きょうだいやま)標高1073m群馬県高崎市、天狗山(てんぐやま)標高1179m、小鐘原ヶ岳(こかぬはらがたけ)標高1225m、大鐘原ヶ岳(おおかなはらがたけ)標高1252m

一か月前の野反湖の山で決定的となった踵(アキレス腱付け根)の痛み。どうにも厄介なことになっている。整形外科で診てもらったが今一つ即効性のある治療に至っていない。痛いところなど手術でなんとかしてもらいところなのだが、なかなかそうはなっていない。とりあえず炎症を抑える薬を服用して何とかごまかしている。とにかく駐車場から職場までの100m程度のところを足を引きずりながら、歩くのは惨めでもある。こうなれば神頼みも選択肢の一つとして、パワースポットで有名な「榛名神社」に絡めて周辺を歩くことにした。

5月28日(土)
自宅から40分ほどで榛名神社に到着。車はトラブルを避けるために無料の市営駐車場に置くことにする。靴下を履きさらにクッション性のあるサポーターを踵に装着した。登山靴のくつひもで絞めつけると足首が固定されて痛みが何となく和らいだ感じがする。しかし、足を引きずるようにして歩くのは変わっていない。榛名神社の参道の道を緩やかに登り上げていく。門前の店は時間が早いこともありすべて閉まっていた。神社の山門の手前で右に登る道があったので入ってみたが、そこは蕎麦屋の駐車場だったので、無駄に歩いたことを悔やみながら戻った。再び山門の前に戻り橋の手前に右に入る道がある。どうやら登山道はここに間違いなさそうだ。今から30年前に登った時の記憶は全くなくなっていた。

道は舗装されており、軽トラックならば十分に走行できる道だ。その道もやがて舗装が途切れて下草が覆うような場所に出る。そこには赤鳥居があり標識もあり、大きな線香立てがガラスケースの中に入っていた。何かの宗教行事に使うと思われるが、それにしても大きい。道はやっと登山道らしくなってきた。かなり荒れた部分もあるが歩きやすい道となっていた。

ほどなく分岐に到着すると「←天狗山・鏡台山→」の標識があり、もちろん鏡台山を選択する。この前来たときは鏡台山に登っていなかったのだ。10分も歩くと再び分岐となる標識は左に向かうようにあったが、書き込みに「?」と書き込んであり、反対に右に行くように矢印がある。地形図を見ると鏡台山の表記のある場所は右にある。とりあえず右の道に入り10分ほど歩くと山頂に到着だ。展望はなく、標識があるだけだった。わざわざ登るような場所ではなかったとがっかりしたそこで標識通りの鏡台山に行ってみることにする。ここには四等三角点があり露岩に登ると大展望が広がっていた。もっとも標高が低いものだから近くの山々が眼前に迫って、緑の要塞に囲まれているような雰囲気だ。遠くで車のエキゾーストノイズが聞こえるが、これはロータリーミーティングの影響なのかもしれぬ。この騒々しい爆音は自然を楽しみに来た者にとっては迷惑この上ないイベントである。鏡台山を辞して分岐まで戻ると単独行の男性とすれ違った。


左足のトラブル

榛名神社の山道を登る

舗装された岨道を辿る

天狗山登山口

レトロな標識

期限切れ

鏡台山のコル

鏡台山はどっちに行けば良いのかな?

鏡台山山頂

三角点のある鏡台山山頂

鏡台山からの展望(正面は杏ガ岳)


天狗岳への道はアップダウンも少なく、山襞をひとつひとつ巻くように進んでいく。途中で高齢の単独行男性を追い越した。とても山に登るような元気な人には見えなかったのでちょっと気になった。どんどん進んでいくと左の斜面を登る道が現れた。消えかけた標識の文字はかすかに「小鐘原ヶ岳」と読める。帰りはここを登るのだと確認してさらに先に進んだ。

その先には分岐があり「←天狗山・西峰→」とあり、天狗山方面には赤鳥居があり、その横には小さな鳥居が並んで設置してある。その数は20個くらいだろうか、小動物程度しかこの鳥居はくぐれないだろう。ここは石碑が多く、信仰の山ということなのだろう。最高点を過ぎてさらに行くと岩蜂に出る。ここの展望は素晴らしく浅間山塊、西上州の山々、八ヶ岳、御荷鉾山塊、それに眼下には高崎前橋の市街地が整然と並んでいる。今日は5月としては異例の猛暑日となっているが、ここは爽やかな湿度の少ない風が吹いて心地いい。30年前に子供と来たときは、ここで般若心経を唱える人に出くわした。しかしその時の景色を思い出すことができない。それだけの年月が過ぎているということなのだと実感する。天狗山東峰を辞して西峰に向かう。途中に朽ち果てそうな鳥居があり、その先は整地されたような平らな場所があった。さらに進むと標識があり、ここが西峰であることを示していた。この山頂は展望がなく、特に気にかかるものもなかった。


小鐘原ヶ岳への分岐

終盤のヤマツツジ

天狗山分岐

天狗山入り口の鳥居

天狗山の社

天狗山山頂

天狗山西峰

西峰の先にも石碑がある


天狗山を下りて歩いていくと鏡台山ですれ違った単独行の男性と再び会った。短く言葉を交わしてから別れた。登ってくるときに見ておいた分岐を、山の斜面に向かって登ることにする。この道は刈払いの跡があるところを見ると、比較的新しいルートなのかもしれない。途中には盛りを過ぎたヤマツツジの花が緑の林の中に灯のように点在していた。尾根に登り上げると道ははっきりとして歩きやすくなる。点在する石碑の一部は、どうやって岩の上に持ち上げたのだろうと、考えさせられるようなものもある。小鐘原ヶ岳にはなんと二等三角点があるが、周囲は樹木に囲まれて展望はない。今となってはただの通過点に過ぎない場所となっている。樹林に囲まれた道は展望がないが、時折展望に優れた場所に出ることがある。ロープウエイの架けられた榛名富士は特に特徴的で、その背後には上州武尊山、谷川岳が残雪をまとって遠望できた。危険な場所もなく道を辿ると大鐘原ヶ岳に到着した。ここはすかいさんが設置した標識があり周囲は平らになっていた。ここでお湯を沸かしてカップラーメンを食べることにした。樹林の間を吹いてくる風は冷たく、ヤッケを着込んで過ごした。

大鐘原ヶ岳からの道は下降気味になる。下降気味というよりは崖を下るクライムダウンといったところだ。もしも樹木がなければ恐ろしい高度感に襲われることだろう。何とか下っていくと展望の良い尾根の突端に出た。ここからは展望もよく、しばらくここで寛ぎたい気分だ。ところが、この先に続く道が見当たらない。どう見ても崖となっておりとても下りられるものではない。しかし周辺は踏み跡がいっぱいで、どこかに道があるはずと探してみたが無い。それではと、戻ってみるとかすかな踏み跡を発見、これを辿って下降してみたが、これも行き詰まってしまった。再び戻ってルートを探すと、お助けロープが設置された下降地点を発見した。これを辿って先ほどの崖下に難なく到達することができた。ここからわずかな距離で地蔵峠に到着した。地蔵峠は明瞭な道があり榛名神社への道標もしっかりしていた。

沢沿いの道は整備されており快適に下降していく。道が整備されているのは榛名神社の簡易水道の水源となっているからなのだろう。獣の気配もなく静かな道だった。


どうやって石碑を岩の上に立てたのか?

小鐘原ヶ岳の二等三角点

小鐘原ヶ岳山頂

榛名富士と上州武尊山

浅間山

遠く谷川岳を見る

マイヅルソウ

かなり急傾斜

地蔵峠


榛名神社の山門に着いて驚いた。朝の静けさは全く無く、参拝客でいっぱいだったので慌ててマスクを着用した。参拝客の流れに従って進んでいくが以前来た時の記憶は全くなくなっていた。とにかくこんなに長い距離を歩いたのかな?と思った。本殿は2025年まで改修工事に入っており参拝はできないので隣の国祖社での参拝となる。真剣に足の治癒を祈願、さらに「足腰守」のお守りを購入してから帰路についた。
現状は(今後は)この程度の山歩きが限界となるだろう。


榛名神社

随神門

参道

七福神の像が参道にある

本殿は2025年まで工事中

国祖社で祈願

お守りを購入


「記録」

市営駐車場07:50--(.12)--08:02榛名神社山門--(.11)--08:13登山口--(.22)--08:35鏡台山コル--(.10)--08:45鏡台山08:48--(.10)--08:58鏡台山三角点09:06--(.07)--09:13コル--(.43)--09:56天狗山東峰10:09--(.06)--10:15天狗山西峰--(.20)--10:35分岐--(.21)--10:56小鐘原ヶ岳--(.20)--11:16大鐘原ヶ岳11:50--(.34)--12:24地蔵峠--(.39)--13:03榛名神社山門--(.16)--13:19国祖社--(.18)--13:37山門--(.06)--13:43駐車場


群馬山岳移動通信/2022


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)