渋い!渋すぎるコース「鍬ノ峰(長野県大町市)」
登山日2020年9月21日


鍬ノ峰からの展望
鍬ノ峰(くわのみね) 標高1623m 長野県大町市

鍬ノ峰の存在を知ったのは餓鬼岳に登った時だった。餓鬼岳登山口の林道をさらに進むと鍬ノ峰の登山道となり、2時間弱で登れるということで興味を持った。しかし、群馬から出かけて往復4時間ではあまりにもあっけない。しかし、地図を見ていると別の登山道があり、そこを登ればかなりの時間が楽しめそうだ。北面のこのコースは大町岳陽高校が開拓したものと聞いている。

9月21日(祝)
4連休は何かと忙しかったが、この日を逃すと当分出かけられそうにないので無理して山に出かける。

登山口の蓮華大橋手前の無料駐車場で支度を始める。そのうちに山登りの格好をした3人が駐車場でうろうろしている。なんと鍬ノ峰にこれから登るという。こんなマイナーな山にマイナーなコースを登るというのはよほどの変人だろう。聞けば爺ヶ岳に行こうと思ったが、駐車場が激混みで、しかたなくこちらに回ってきたという。車はお寺の駐車場に停めてきたというので、保安上の問題から、こちらもお寺の駐車場に移動することにした。

仏崎観音寺(佛崎山観音寺)はひっそりとしており、傾斜した庭は花崗岩が風化した砂礫が一面に広がっていた。その一角に先行パーティーに倣って駐車した。そのパーティーは先に出発していったので、ゆっくりと支度をしてから10分ほど後から歩き出した。寺の敷地から山に向かって歩き獣除けのフェンスの扉を開けて中に入る。すぐに鐘突堂への標識が設置されており、年季の入った軽量ブロックの階段を登ると10分ほどで鐘突堂に到着する。どうやらこの鐘は遠隔で操作するらしい。おまけに拡声器がついているから、強烈な音が響き渡るに違いない。


仏崎観音寺

獣避けフェンス

鐘突堂へ

金突堂

金突堂から安曇野


鐘突堂を過ぎると道はいよいよ登山道らしくなってくる。この辺りは道が複雑に入り組んでおり非常に分かりにくい。アカマツがあることから、それなりに人が入っているのかもしれない。まして岩場といっても間違いないようなルートなので登るには問題ないのだが、下降するときはルートが解らなくなることは想像に難くない。この付近はミヤマママコナの花が目立つ。

急傾斜の岩場を登りきると、傾斜は緩み快適な尾根道となる。標高1050mの急傾斜が始まるところで先行しているパーティーに追いついてしまった。仕方なく追い越して、設置されたロープにつかまって先に進んだ。この急傾斜を過ぎると標高1200m付近で道は大きく左に曲がる。ここには黒いプラスチックの杭があり「山頂3.2km 登山口1.7km」の文字がかすかに読み取れた。この先に三角点があるのだが、今回は見つけることはできなかった。

展望のない樹林帯の道は変化がなく単調だ。しかしシャクナゲが多いところを見ると、花の季節は見事な景色が広がるのだろう。道は徐々に高度を上げていき、ふと見ると青々とした枝が落ちている。気になって上を見上げるとクマ棚ができており、思わず緊張が走る。木の幹を観察するが、クマが木登りするときにできる爪痕がない。しかし、どう見てもクマが食餌をした跡に間違いなかった。ここで、熊鈴をザックに取り付けラジオのスイッチを入れてクイーンの曲を連続して流すことにした。下山時にこの近くで、真新しい枝が落ちているのを見たので、クマの存在は間違いないだろう)さらにここにはマムシがいるのが驚きだ。

それにしても樹林で展望がなく、高度を上げるとガスが濃くなっていくので、気持ちが落ち込んでいく。ただ、気温がそれほど高くないことが汗っかきの私にはうれしい。だらだらと距離をひたすら延ばしていくのが次第につらくなってくる。鍬ノ峰の一座のためにこれほど頑張る必要があるのだろうか?などと考えてしまう。


ミヤマナナコナ

ロープのある急斜面

1200m付近

クマの食餌跡

クマの食餌跡(帰路に撮影)

熊棚がある

アニメのキャラクター?


鍬ノ峰が近づいてくると、道は次第に笹が深くなる。まだ残っている朝露に濡れながら斜面を登ると、誰もいない鍬ノ峰山頂に飛び出した。山頂からの展望は残念ながらパッとしない。乳青色の水をたたえた七倉ダムが目立つ程度だ。汗で濡れて乾いたところがない上着を脱いで木の枝に引っ掛けて大休憩だ。お湯を沸かしインスタントのカレーメシを作る。その間に白沢登山口から登ってきたご夫婦が到着した。登り約2時間と聞いてちょっとがっかりする。展望もない道をわざわざ登ってくるのは渋すぎる山歩きだ。このご夫婦はかなりの登山歴を持っているようで、何よりも自由気ままに自分のやりたいことをやっているのがうらやましい。30分ほど山頂に滞在すると追い越してきた3人組が到着した。これで自分も含めて10人が山頂に集結したことになる。あまり広くない山頂はかなり賑やかな状態となってしまった。ここで山頂を辞することにした。


会いたくない

笹藪

山頂直下の笹藪

山頂(残念ながら展望はこの程度)

七倉ダム

帰路はいわゆるシルバーウイークのど真ん中。ひどい渋滞の中、這う這うの体で自宅に帰った。                                                               


06:50仏崎観音寺登山口--(.09)--06:59鐘突堂-(3.18)--10:17鍬ノ峰10:52-(2.23)--13:15鐘突堂13:25-(.07)--13:32仏崎観音寺


群馬山岳移動通信/2020


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)