小赤沢から登る草紅葉の「苗場山」大賑わい
                                        登山日2020年10月11日


坪場の草紅葉
苗場山(なえばさん)標高2145m 新潟県湯沢町・津南町、長野県栄村

関東地方に接近していた台風14号は、伊豆諸島付近でUターンして温帯低気圧となった。翌日は台風一過までとはいかないまでも、ひどい雨にはならないだろうと考えた。それならば、なるべく北に向かうのがよかろうと考えた。そこで思いついたのが、草紅葉がちょうど見ごろとなっている「苗場山」に決めた。

10月11日(日)
苗場山はいままで4回登っているが、まだ登ったことの無い「小赤沢」コースを辿ることにした。自宅を4時少し前に出発、津南町から国道405号線を辿る。いつも工事が行われているこの道は狭く、対向車が来た場合はすれ違いに苦労する。まして谷側にガードレールがない場合は緊張を強いられることになる。豪雪地帯であるこの地区は冬季に陸の孤島になるのも無理からぬことだ。

小赤沢集落から舗装された林道を標識に従って上っていくと広い駐車場が現れる。しかし、その光景に目を疑った。まだ6時半だというのに、80台は収容できる駐車場は、ほぼ満車に近い状態ではないか。これはすごいところに来てしまったとちょっぴり後悔した。出発準備をしている間もひっきりなしに登山者が出発していく。

やっと準備を終わり、登山者の列に加わる。駐車場の奥から登山道が始まり、ここは三合目(標高1310m)となっているから、山頂までの標高差835mはそれほどには思えない。しかし、案内には山頂まで登り約3時間30分、下り約3時間と書いてあるのでちょっとプレッシャーを感じる。この三合目あたりは黄葉が始まりかけており、日差しが降り注いでいれば見事なことだろう。なるべく意識してゆっくりと歩くと、先行している登山者からは引き離されていくがマイペースは守らなくてはと自重する。道は木の根が浮き出ているので、下降の際には注意しなくてはならないと思った。

歩き始めて30分ほどで四合目に到着、ここには近くに沢があり水場ともなっているが、この混雑状況ではあまり衛生的とは言えないような気がする。四合目を過ぎると道はぬかるみが多くなってくる。丸太を玉切りにして埋めた歩道はなかなか良いアイデアだと思う。また登山者の中にはスパイク長靴で来ている人もいる。なかなか快適そうで、周りの目を気にしなければアリだと思う。しかし、登山道はスパイクで掘り返されて悪路となることは間違いない。スパイク長靴は雪道が合っているように思う。


三合目の登山口

木の根は滑りやすい

丸太を埋め込んだ道は歩きやすい

猿面峰


五合目を過ぎたあたりから、ゆっくりと歩いたのだが15人ほど追い越してきている。さらに六合目あたりからはガイドが引き連れた2組10人ほどを追い抜いた。やはり団体だと岩場(鎖場)での渋滞が発生してしまうのは仕方ないだろう。岩場には鎖が設置してあるが、登りの時は使うことはないが、下りの時は必要となるだろう。実際に下りの時は駐車場までストックはザックに収納したまま使用しなかった。

七合目あたりから振り返ると隣の尾根上にある猿面峰の紅葉が目に鮮やかだ。実は大赤沢ルートで猿面峰を経て山頂を目指そうと考えていたのだが、あまりにもこのルートが不気味なので小赤沢ルートに変更したのだ。いくつかの鎖場を過ぎて七合目あたりまでくると森林限界が近くなり、なんとなく気分が高揚してくる。登山者も疎らとなり、マイペースを維持できるようになった。しかし、この付近から下山者とのすれ違うようになった。時刻は9時なので、早く出発した人は下山する時間なのだろう。


下山時には役にたつ鎖

七合目


八合目


八合目は標高1940m、標柱は登山道の中途半端なところにあった。ここは休憩するには不向きな場所だった。八合目から10分ほど歩くと周囲が開け、草紅葉の原が広がった。あまりにも劇的な風景の変化なのでびっくりする。ここは坪場(壺場)と呼ばれる場所で広大な湿原と無数の池塘が点在している。あいにくと曇り空なので色鮮やかとは言えないが、十分にその美しさが伝わってくる。草紅葉はちょうど見ごろで、ここもやがて雪に覆われていくのだろう。今回の山行ではこの坪場が一番美しいと感じた。実際に苗場山の画像でも山頂よりも、この坪場の画像が多く出てくるようだ。


坪場の一角、ドウダンツツジの赤が目を刺す

坪場

坪場


真新しい木道を辿って苗場山山頂を目指すことにする。緩やかに登り、湿原が終わったところに九合目標識がありここから樹林帯に入る。この樹林帯は大きな石がゴロゴロと、これでもかと道を埋め尽くし、なんとも歩きにくい。このコースの一番の難所と言えるかもしれない。石の下は泥水がたまり、石の上をピョンピョンと渡れなければ地獄の道となる。もしも飛び石の途中で滑ったらただでは済まないと考えると、どうしても慎重にならざるを得ない。仕方なく石の上と泥水の中を上がったり下がったりしながら行かねばならない。

やっと樹林帯を抜けると山頂の広大な湿原が広がった。しかし、ガスが濃くなり広大な景色を堪能することはできなかった。ガスの中、木道を辿って山頂を目指す。しかし木道はほとんどが一本道なのですれ違いに苦労することになる。

山頂の建物は「苗場山自然交流センター」という名称になっている。建物の前は多くの人が休んでいた。また、トイレは長い列が出来ているので、山頂に行くことにした。ところが山頂標識の前は記念撮影の長い列が出来ている。これはたまらんと、誰もいない瞬間を狙って写真を撮って退散した。

山頂から少し下がったところにある休憩スペースの一角に陣取って昼食にする。周りを見ると驚く、ほとんどがガスストーブを使いワンタンやラーメン、中にはフライパンでパスタを作っている人もいる。世の中は変わってきていると実感した。私は定番の「カレーメシ」を作り暖かいものを口に運んだ。ゆっくりと休憩し、草紅葉を堪能しながら帰路に就いた。


九合目

ここから始まる頂上湿原

山頂ヒュッテがガスの先に見える

山頂の一角

あそこで昼食にする

帰路、ガスが巻いたまま

さらば山頂湿原

四合目、もう少しで駐車場

ツタウルシが見事


小赤沢三合目駐車場07:04--(2.07)--09:11八合目--(.55)--10:06苗場山山頂--(.06)--10:10休憩10:40--(.47)--11:27八合目--(1.35)--13:02駐車場

群馬山岳移動通信/2020

この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。
(承認番号 平16総使、第652号)

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