雁峠から雁坂峠を周回
「燕山」「古礼山」「水晶山」「雁坂嶺」

                                        登山日2016年4月30日


この標識の下を雁坂トンネルが貫通している

燕山(つばくろやま)標高2004m 埼玉県秩父市・山梨県山梨市/古礼山(これいさん)標高2112m埼玉県秩父市・山梨県山梨市/水晶山(すいしょうやま)標高2158m埼玉県秩父市・山梨県山梨市/雁坂嶺(かりさかれい)標高2289m埼玉県秩父市・山梨県山梨市 



今年の山の残雪は異常なほど少ない。念のために一週間ほど前に清水集落に偵察に出かけたが、例年と比べてその有様に驚くばかりだ。まして今年の天候は不順で上越国境付近は特に荒れ模様だ。さらに連休がはじまる前日に緊急の案件が入った。こうなると出かける状況では無くなってきてしまった。そこで約1か月前に敗退した「雁峠から雁坂峠」に再挑戦することにした。

4月30日(祝)
午前6時過ぎに「道の駅みとみ」に駐車する。連休の時期という事もあり車の数が多く、動いているのはほとんどが登山者だ。いつものようにカップラーメンを食べて朝食として歩き始める。一度歩いたことのある道は気楽なもので、何の考えもなく林道入り口に到着する。そのまま林道を詰めて厳重に閉じられたゲートに到着した。1ヶ月前と違ってカラマツの新緑とヤマザクラの花が目につく。まして鳥の声を聴くと明らかに季節が移ったことを感じる。林道に沿って流れる「広川」の水の流れも暖かいような気がする。



道の駅みとみ

ヤマザクラが満開だ

なんとなく春の雰囲気が漂う

雁峠に近くなるとシモバシラがあった



1ヶ月前よりもペースは速く30分ほど短縮して「雁峠」に到着した。単独行の男性が休んでおり丁度ザックを背負って出発するところだった。ベンチにザックを置いて一休みしながら白銀の南アルプスを眺める。すぐ近くにある笠取山は雪がすっかり消えてしまっていた。「燕山」の斜面は草原の中にジグザグ登山道が見えている。その登山道を串で刺したように一直線に水が流れた溝が出来ている。上部の方から3人の登山者が降りてくるところを見ると連休の山を感じさせる。10分ほど休んだのでザックを背負って登りはじめる。途中で差人の高年齢の登山者とすれ違ったのだが、なんの挨拶もなく違和感を覚えた。



あそこが雁峠だ

雁峠で記念撮影

燕山の登り

雁峠と笠取山を振り返る



「燕山」の登りは我慢のしどころで、息を整えながらゆっくりと登っていく。途中で単独行者に追い越されたが、年齢を考えれば仕方ないだろう。それでも前回よりも10分ほど早いから充分だ。 「燕山」は標識のあるところではなく、その先の2004mの標高点の所にある。これは前回登っているので、今回は巻き道を辿って通過した。この「燕山」を過ぎたあたりから道はアップダウンの少ない快適な縦走路となった。なによりも樹林帯を抜けた時に広がる展望は最高だ。少し霞んではいるが「富士山」が終始、見えているのは嬉しい。標高2000mの縦走路には雪は全く無く、それどころか乾燥している状況である意味快適そのものだ。樹林帯の中ではコケに覆われた倒木があり、その付近にはバイカオウレンが静かに咲いていた。



燕山

富士山だ

古礼山までの縦走路は富士山が終始見えた

古礼山山頂まであとわずか

バイカオウレン

古礼山山頂



快適な登山道は何処まで続いていても疲れない感じがする。「古礼山」の山頂は西方面がひらけており「富士山」や登ってきた「広瀬湖」を見ることが出来る。ベンチに腰掛けて菓子パンを食べてしばし休憩する。

「古礼山」から「水晶山」はわずかな時間で到達できた。たどり着いた山頂は展望もなく標識はケモノに囓られたような痕が残っていた。かつてここで女性二人の白骨化した遺体が発見されたが、未解決のまま終わったとのことだ。天気の良い明るい日射しの中ではそんな陰鬱な話は思い出すこともなかった。

「水晶山」から下降していくと道が分岐する。下降するのが「雁坂小屋」直進するのが「雁坂峠」だ。標識の真下は雁坂トンネルが通っているとのこと。どちらに進むべきか迷ったが、峠まで行ってから同じ道をピストンするのも味気ない。そこで小屋に直接向かうことにした。分岐から小屋までのトラバースする道は意外と長く感じられた。



水晶山山頂

笠取小屋

有名な?トイレの中を国道140号が通っている図

ハートマークがある

たしかにハート形に見えないこともない

ビールが旨い

日本三大峠

雁坂峠



小屋の屋根が見えると横笛の音が聞こえてきた。曲目は「アメージング・グレイス」だが、ちょっとぎこちないところが良い。小屋に着くと横笛を吹いていた人と、もう一人が歓迎の挨拶をしてくれる。二人とも小屋番で、もう一人は小屋の掃除をしていた。大変な歓迎ぶりで群馬からだというと「ここから赤城山や榛名山が見える」と言って写真を持ってきたり付近の様子を説明してくれる。それにここから広葉樹がハート形になっているのが見えたりする。なんだかんだと世話を焼いてくれるのだが、次の登山者が到着すると、こんどはそちらの方に話しかけている。営業スマイル、営業行為を差し引いてもなんとなく居心地の良い小屋との印象だ。山バッチと缶ビール(500円)を購入し持参したピーナッツをつまみに一気に飲み干した。旧国道にまたがるトイレを見学しているとちょっと酔いが回ったかなと思った。しかし、もうどうしようもない。雁坂峠に向けて樹林帯の中を登ることにした。

飲んだビールが汗となって吹き出る頃に「雁坂峠」に到着した。峠からは西方面がひらけており、「奥仙丈ヶ岳」が、また「水晶山」からの稜線がここまで続いているのが確認できる。峠にはベンチがあったが、登山者で埋まっており休むことは出来なかった。この「雁坂峠」は日本三大峠のひとつなのだそうだ。何を基準にしているのか不明だが、かつてここを越えた人も富士山を見たのに違いないと、その光景に思いをはぜた。さて、時間にも余裕があるので「雁坂嶺」をピストンしておくことにする。どうせ戻ってくるのだからザックを置いていくことを考えたが、その勇気はなく結局は持って行くことにした。



雁坂嶺まであと少し

雁坂嶺



一本調子の登りは、ビールの酔いが回った足にはちょっときつい。展望を楽しむまもなくひたすら登るだけだった。「雁坂嶺」は人気がないと思っていたが、そうでもなさそうですれ違った登山者は10人程度だった。山頂からの展望はやはり西方面がひらけており、いままで辿ってきたルートを再確認することが出来た。かなり長い距離を歩いたものだと思った。ほどなく甲武信岳方面から単独行の男性がやってきてベンチの上で横になった。かなり疲れているらしい。しばらくしてから起き上がりストレッチをはじめた。私よりも30歳くらい若い感じがするその男性と話した。やはり今年は残雪が少ないので仕方なくこのあたりを歩いているということだ。



雁坂峠から下降する

こんな徒渉箇所もある

ミツバツツジ

沓切沢橋に到着

雁坂トンネル料金所付近

カラマツの新緑とサクラ



ふたたび「雁坂峠」に到着すると賑やかだったのが嘘のように誰もいなくなっていた。時刻は14時を過ぎているのでそれほど余裕はないが、日没が遅くなっているこの時期はそれほど焦ることはない。途中には危険なトラバースや徒渉があり、3月のあの時に無理してこなくて良かったと思った。もし強行していたらかなりの困難を伴ったに違いない。「沓切沢橋」からは舗装された林道歩きになった。この林道歩きの1時間がとてつもなく長く感じられた。



道の駅みとみ06:38--(.12)--06:50林道入口--(.12)--07:02ゲート--(.39)--07:41作業小屋--(1.29)--09:10雁峠09:18--(.34)--09:52燕山--(1.09)--10:47古礼山10:56--(.28)--11:24水晶山11:33--(.12)--11:45分岐--(.13)--11:58雁坂小屋12:18--(.20)--12:38雁坂峠12:47--(.41)--13:28雁坂嶺13:48--(.24)--14:12雁坂峠--(1.42)--15:54沓切沢橋--(.57)--16:51道の駅みとみ



群馬山岳移動通信/2016


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。
(承認番号 平16総使、第652号)

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