陣馬高原下から高尾山を往復  登山日2013年1月26日



高尾山の賑わい

陣馬山・陣場山(じんばさん)標高855m 神奈川県相模原市・東京都八王子市/萩ノ丸(はぎのまる)標高740m 神奈川相模原市・東京都八王子市/堂所山(どうしょさん)標高731m 神奈川相模原市・東京都八王子市/景信山(かげのぶやま)標高727m 神奈川相模原市・東京都八王子市/城山(しろやま)小仏城山(こぼとけしろやま)標高670m 神奈川相模原市・東京都八王子市/高尾山(たかおさん)標高599m 東京都八王子市


冬型の気圧配置が続き、群馬県北部は大雪となった。
そこで、南方面の山に登ることにした。そうなれば東京方面と言うことになり、かねてから気になっていた「陣馬山」「高尾山」に出向いてみることにした。出来れば縦走したいところだが、車を使うとピストンと言うことになる。コースタイムを調べると、陣馬山は和田峠から登るのが時間的に最短だ。しかし、ピストンを考えて陣馬高原下を起点にすれば、帰りに陣馬山に登らずに帰れることがわかった。

1月26日(土)

関越道から圏央道を経由して陣馬高原下に到着すると、夜が明けて周囲はすっかりと明るくなった。しかし、周りは静かで人の気配も消えていた。広いバス停も人影は全くなかった。その脇に有料駐車場があり、数台が止められるようになっている。料金の600円は前払いで、前の家に払うように書いてある。道を挟んだその家に行くと、料金は玄関の郵便受けに入れておくように書いてある。家の住人は留守なのだろうか、郵便物が束になって入っていた。

支度を調えて和田峠に向けて舗装された車道を登っていく。ストックの石突きの音とビブラム底の登山靴の音が周囲に響き渡った。情報では車道は狭いと書いてあったが、無理をしなければ問題ないと感じる。20分ほど登ると、左に入る道があり、ここが登山道の入り口だった。

登山道は檜の植林地を縫うように上っていく。植林地の中はうす暗く、まだ夜が明けていないような錯覚を覚えるほどだ。この道は良く歩かれているのだろう、檜の根が土の上に露出しており、まるで人工的に作った階段のようになっていた。傾斜は次第に強くなるとともに、雪の白さが目立ってきた。雪の上に続くトレースは踏み固められて、凍結している。アイゼンを持ってきてはいるが使うほどでもなく、ストックでバランスをとっていけば問題はなかった。上部の山肌に朝日が当たり光の塊が下に向かってくると、雪は光を蓄えていたように一気に輝きを増してきた。見上げれば空は青く、今日一日の天気は約束されたようだ。

やがて和田峠からの広い道に合流し、左に折れて山頂に向かう。道はスノーモービルの轍だろうか、キャタピラの跡が凍結した雪に残っていた。長い霜柱を感心しながら眺めながら山頂に向かうと、陣馬山のシンボルである大きな白馬像が目の中に入ってきた。その像に向かって一気に駆け上がると、誰もいないひっそりとした山頂広場に到着だ。見渡せば360度の展望が広がっており、都会の山らしく都心の高層ビル群も眼下に広がっていた。周囲の山はなじみがないのでわからないが、そのスカイラインを見ているだけでも楽しい。しかし、富士山の方角には茶屋の建物があり、展望は効かないのが残念だ。セルフタイマーで記念撮影をしていると、単独行の男性が登ってきた。藤野駅から登ってきたのだという男性は、私と同じ高尾山まで行くという。この先も会うことが多いだろうと挨拶を交わして、私は一足先に山頂をあとにした。



陣馬高原下

和田峠への道は大型車通行止め

檜植林地

霜柱

陣馬山

富士山が見えるのだが・・・建物が

富士山は美しい

明王峠の茶屋



陣馬山からは快適な道を指したるアップダウンもなくどんどん距離を稼いでいく。標高差からみると陣馬山と高尾山では250mほどあるので、どんどん下降しているようなものである。途中で何人ものトレランの人に出会った。このルートは危険性もなく、トレランには最適なのだろう。

陣馬山から顕著なピークでもない萩ノ丸を過ぎてすぐに明王峠に到着した。峠には茶屋があったが、営業はしていないようだった。ここのトイレを借用して出てくると、陣馬山の男性に再び出くわした。トイレの脇からは見事な階段が一直線に続いているので、その道に向かおうとしてから男性に聞いてみた「高尾山はこっちですよね?」男性は首をかしげている。「そうですね、ちょっと戻って標識を見てきます」と答えてから標識まで戻ると、なんと先ほど行こうとした道は「相模湖→」だった。危なかった、あのまま下っていたら取り返しのつかないことになっていた。

気を引き締めて道を辿って行くと、堂所山への道とそのピークを巻く道に分岐した。もちろん堂所山に行くことにして、踏み跡も少ない登りに向かった。ほどなく山頂標識と朽ちかけたベンチのある堂所山山頂に到着した。ここからは陣馬山の白馬像がハッキリと確認できる。それにしてもずいぶん歩いたものだと、感心してしまった。堂所山からは圧雪されアイスバーン状の道をどんどん歩いていく。時刻は10時近くなってくると、すれ違う人も多くなってくるので挨拶が面倒くさい。

周囲が開けてくると大賑わいの景信山山頂に到着だ。茶屋は景気が良さそうだし、休憩ベンチはほとんど埋まっている。まさに都会の山の雰囲気をおもいっきり味わう事が出来る。ここでも陣馬山の男性と同席して展望を楽しむことが出来た。男性はもう少しゆっくりすると言うので、時間との競争をしているような私はやはり先に山頂を発つことにした。

景信山からの下りは泥沼地獄だった。転んだらそれこそ悲惨な状況になることは必至である。こんな時に限って20人ほどの団体さんとすれ違うことになった。すれ違う場所もなく避け損なったら、みんなが見ている前で醜態をさらしてしまうことになる。慎重に歩を進めながらなんとかすれ違いを完了した。木道整備の人たちの脇を抜けて一気に下降すると小仏峠に到着した。この付近の地下は高速道路のトンネルがあるのだが、もちろん騒音など聞こえるわけもないのだが、耳を澄まして聞き耳を立ててしまった。



よく整備された道

景信山


景信山から都心と横浜方面


スカイツリーが見える

小仏峠(なぜかタヌキ)



小仏峠から城山までの道は、北斜面であることで、雪がアイスバーンとなっており、とても危険な状態になっていた。アイゼンを付ける人がほとんどだったが、私は付けるのが面倒なのでそのままにしておいた。本当はこれが一番危険な考え方なのだと解ってはいたのだが、とにかく時間も貴重に思えた。見ている前で転んでいる人を見るのはちょっとだけ嬉しかったりする。(結局、最後までアイゼンは使わずに過ごしてしまった)

城山山頂はアンテナ群が林立する場所だった。新しいトイレもあり休憩する人も多い。ここから見る高尾山は標高も低く、貧弱な山に見える。それにしても人がどんどん増えていく様は、異様な感じを受ける。時刻は11時を回ってしまったので、この城山も急いで辞することにする。

なだらかに下っていくと一丁平に到着した。展望台があり、ここも実に賑やかで、ご婦人の場をわきまえぬ笑い声が随所から聞こえてくる。とてもいたたまれずにこの場所も辞することにする。

道は広いが、人の往来もひっきりなしだ。雪が溶けて泥沼化した場所は慎重に歩くしかない。それを少しでも防ごうとムシロが敷き詰められているのだが、このムシロも泥で汚れているので避けて歩きたいようだ。高尾山が近くなってきたようで標識に高尾山の文字が多くなってきた。この標識なのだが、道がいくつもあるようなので、仕方ないのだろうが、名称がD号線(人と自然コース)なんて付けられていると何が何だかさっぱりわからない。

石段の道の手前も左右に道が分かれている。こんな時に限って人がやってこない。まあ何とかなるだろうと、真ん中の石段を登っていくことにする。細かいステップの石段は意外と疲れるコツコツと音を立てながら登り切るとそこは賑やかな世界が広がっていた。原色の幟や、華やかな店の商品、華やかな姿の観光客、ベンチは全て人が座っている。いやベンチ以外の所でも人が座っている。この寒い時期のおまけに雪がある季節にこれだけの賑やかさ。田舎の山では信じられない。茶店の中をのぞいてみるが、どこも満席で中に入ることも出来ないほどだ。

三角点を確認しただけで、早々にこの山頂を離れることにした。山頂から少し離れた富士見台園地のベンチにやっと腰を下ろして、ヤキソバパンの昼食とした。しかし、ここから帰ることを考えると、ゆっくりすることは出来ない。気ぜわしく昼食を済ませて日の傾きかけた登山道を戻った。歩き始めると同時にあの陣馬山で出会った男性とすれちがった。「お互いまたどこかで」声を掛け合ってそれぞれの方向に歩みを進めた。



城山へ

城山の茶屋

城山の広場

この石段を登れば高尾山

高尾山の賑わい

高尾山の賑わい



再び景信山の山頂にたどり着いたのは14時ちょうどだった。ここまでくれば先は見えているようなものなので、茶屋でナメコうどん(500円)を注文する。目の前のイスとテーブルはガラガラで、お昼時とは全く違っていた。できあがるのを待つ間、薪ストーブの近くで休憩する。ストーブの周りは元気な高齢者が賑やかに、酒を酌み交わしている。思わずこちらもビールに手が出そうになるが、これからのことを考えると我慢するしかない。ゆずの香りが食欲をそそる、ナメコがたっぷりのうどんが10分ほどで配膳される。ナメコのヌメリが絶品で、もちろん汁まで完食。

さて、これから底沢峠まで一気に歩こう。



景信山のテーブルは人影も疎ら

ナメコうどん



底沢峠からの下りは恐ろしいほどの急傾斜の斜面に付けられている。残雪があることを幸いにショートカットでどんどん下降していくとやがて舗装された車道に降り立った。ここからは鼻歌交じりに陣馬高原下の駐車地点まで迷うことのない一本道を歩いた。



底沢峠の分岐

植林地をどんどん下る

キャンプ場付近

陣馬高原下に戻った






陣馬高原下06:45--(.26)--07:11林道を離れる--(.56)--08:07陣馬山08:24--(.30)--08:54荻ノ丸--(.03)--08:57明王峠09:04--(.28)--09:25堂所山09:30--(.44)--10:14景信山10:31--(.19)--10:50小仏峠--(.21)--11:11城山11:16--(.13)--11:29一丁平--(.31)--12:00高尾山12:25--(.55)--13:20小仏峠--(.35)--13:55景信山14:19--(.52)--15:11底沢峠--(.22)--15:33キャンプ場--(.20)--15:53陣馬高原下

歩行沿面距離:26.5km


この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)