伊那谷を眼下に見る「戸倉山」「陣馬形山」「大嶺山」 
                                          登山日2011年12月10日・11日



陣馬形山から中央アルプスの夜明け
12月11日5時58分



伊那谷に冬の日射しが届いた
12月11日8時11分


戸倉山(とくらやま)(伊那富士)標高1684m長野県駒ヶ根市・上伊那郡/陣馬形山(じんばかたやま)標高1445m長野県駒ヶ根市・上伊那郡/大嶺山(おおみねさん)標高1020m長野県上伊那郡



****戸倉山(伊那富士)****

日頃からお世話になっている、猫爺さん、旅人さんと伊那谷を見下ろす山で集まろうと言うことになった。現地集合なので時間に余裕を持ってゆっくり現地に向かうことにした。


12月10日(土)

上信越道から長野道へ、そして中央道の駒ヶ根ICで降りて、戸倉山キャンプ場に向かう。積雪こそ無いが車道は狭く両側はイノシシ避けのためか電柵が張り巡らされている。戸倉山キャンプ場はシーズンオフなのでバンガローは鍵で閉じられているが、トイレだけは開け放しになっている。駐車場に車を止めて準備をする。すでに4台の車が止まっているところを見ると、かなりの人が入っていることが容易に想像できた。


駐車場から歩き始めると、久しぶりの山歩きでもあり、なにか調子が出ない。鬱蒼とした杉林の中の道はうっすらと雪が積もり、無数の足跡が残っている。登山道はしっかりとしており何の心配もいらなかった。九十九折りの道は、見事に急斜面を登るようにつけられているので疲れもさほど感じない。むしろ快適に高度を上げているので心地よささえ感じる。

馬止の松と呼ばれる場所で、男女二人を追い越して先に進む。さらに上の森コースの分岐で年配の6人組を追い越すことになった。あまり歩いていない割には調子が良いなと感じた。「猿の松」「天狗伝説の岩」と訳の分からぬ場所を過ぎて東屋に到着。ここは「金名水」と呼ばれる水場があるがこの季節は凍り付いて流れは見えなかった。東屋には大鍋がデポしてあり、誰でも自由に使える様だ。ここからは伊那谷方面がちょっとだけ開けて展望がちょっとだけ得られた。

立ち止まると寒いので、このまま先に進むことにする。汗っかきの私は被った帽子のツバから汗がしたたり落ちて、ツララとなって先端で凍り付いている。まったく日頃のの体重管理が出来ていなくて、右肩上がりに増加する体重に歯止めがきかない。定年後のためにも今から管理をきちんとしなくてはと反省する。

急斜面もちょっとの距離で、ひょっこりと戸倉山西峰に到着した。山頂は明るく伊那谷と中央アルプスが丸見えとなっている。見知らぬ山での山座同定は難しいが、イラスト入りの標識があり何となく山名が分かる。山頂にいたカップルにカメラのシャッターをお願いして記念撮影とした。この山頂にはいろんな石祠があり、進行の山という感じがする。西峰からさらに進んで東峰に移動するとコルに立派な避難小屋があり、中を覗くと実に清潔で気持ちの良い空間が保たれていた。

西峰から東峰までは5分も掛からないが、ここには一等三角点があり、薬師如来像が鎮座している。ここからは仙丈ヶ岳の姿が大きく、隣の北岳は脇役のようでもある。眼下には水色の美和湖が地形図の形とそっくりに見えていた。山頂には先ほど西峰で出会った男女と、展望の良い場所に陣取って食事中の二人が座っていた。あまり気分的にも良くないので、西峰に戻ることにする。途中の避難小屋でも良いかなと思ったら、追い越してきた6人パーティーがちょうど到着して小屋は占拠されてしまった。しかたなく、西峰でザックをおろして焼そばパンをほおばる。(この焼そばパンも最近は愛好者が増えたらしいので、今度は違うパンにしようかな)ここで再び東峰のカップルが帰ってきた。しばし談笑してから下山に取りかかる。

急いだわけでもないが、30分で下山してしまった。




登山口の駐車余地

電気柵は外されていた

馬止め松(標識が松に取り込まれている)

雪も少なく快適な登り

東屋に鍋がデポしてある


金名水の東屋



帽子のツバの汗が凍った


西峰の標識1680.7

西峰山頂



西峰山頂


東峰山頂


東峰から仙丈ヶ岳


戸倉キャンプ場09:37--(.27)--10:04馬止の松--(.29)--10:33猿の松--(.02)--10:35天狗伝説の岩--(.07)--10:42金名水(東屋)--(.17)--10:59戸倉山(西峰)11:06--(.04)--11:10戸倉山(東峰)11:14--(.05)--11:19西峰11:26--(.30)--12:06キャンプ場






****陣馬形山****



下山後、陣馬形山に向かうのだが、どうも林道の様子が分からない。迷いながら行くよりも猫爺と旅人を待って一緒に行く方が得策と考えて、途中で寄り道をしながら向かうことにする。
「旧木下家住宅」はいかにもこの地方の家と言った佇まいだ。柵もないので周囲を覗かせてもらう。無人らしいが、電気のメーターを見るとぐるぐると回っている。ひょっとすると済んでいる人がいるのかもしれない。

その後は昼食をどこで摂ろうかと考えながら木曽川に沿って南下していくと、ついに中川村役場に着いてしまった。この付近なら何かあるはずと探してみると、望岳荘と言う施設があり、何か食べられそうだ。着いてみると広い駐車場があり周囲には蕎麦屋、日帰り入浴施設、ハチの博物館まである。とりあえず蕎麦屋の暖簾をくぐる。店内はどうも一人の客では居心地が悪そうな雰囲気。しかし、そうも言っていられないので、隅のテーブル席に陣取って注文する。

蕎麦の味はともかく、木曽檜の箸が気に入った。どうやら使い捨てでは無いらしい。重さとバランスの感じがとても良く、塗り箸のような掴み難さがない。持ち帰ってしまおうかと思ったが、一応聞いてみると、この箸は評判が良いらしく、何人にも聞かれるという。ちょっと粘ったが、無理と諦めた。




旧木下家住宅



望岳荘(学校跡地の利用)


手打ちそばをいただく


客は私だけだ


ゆっくりと待っていると、二人がやってきた。
ここで驚愕の訃報を旅人さんから聞く事になった。
お世話になった先生が今日亡くなったというのだ。
思わず絶句。
これから向かう陣馬形山に行くことがどうなのか考えたが、ともかく予定通り陣馬形山に行くことにした。

陣馬形山への道はかなり困難を考えていたが、わかりやすく心配していた凍結部分もわずかであっけなく山頂の小屋まで到着することが出来た。
明日の天気は分からないのでとりあえず展望がある内に山頂に登ってみる。

おお!!何という素晴らしい展望だろう。
ここが牧場として開拓された名残なのだろうか、山頂は草原状になっており360度の展望が得られていた。眼下の伊那谷は蛇行した天竜川によって複雑に分断されているのがわかる。恵那山方面には光芒が差し込んで短い冬の夕暮れを演出していた。そんな暮れゆく風景を寒さに震えながら楽しんだ。すでに二人は荷物を小屋の中に持ち込んで、夕餉の支度の真っ最中。小屋と言っても広く30坪ほどもあり、室内には畳が敷かれている。それに真ん中には薪ストーブまで完備していた。どうやら今夜はこの広い建物は三人で貸し切り状態のようだ。

寒さと高地のことを考えて、ガソリンストーブを用意したが、普通のガスボンベで充分に調理が出来た。猫爺が準備した食材を旅人が出際良く刻んでいく。あっという間に食材ができあがった。見事というほかない。肝心の酒はとても呑みきれない量が並べられた。普段なら乾杯と言うことだが、今夜は先生の訃報に応えて献杯とした。何となくしんみりとしながら、思い出話を語り合った。次は誰だろうと言うことになったが、年功序列という点では猫爺、危ないところに出かける旅人は案外早いかも、メタボの私はさらに早いかも。つまりこの三人の順番は分からないと言うことで落ち着いた。

寒さは容赦なく小屋の中に進入してくる。普段見たことのないハブ酒をいただくと、これはかなり暖まった。しかし、これをいただき過ぎると、ととんでもない事になることはあきらか。自重して芋焼酎のお湯割りで調整する。今日は皆既月食と言うことで、なんとか持ちこたえようと頑張ったが、寒さと酔いでそれを待たずに全員が車に戻って寝てしまった。ところが夜中に車が到着し賑やかになったが、それよりも睡魔が強く眠りについてしまった。


朝は寒さで目が覚めた。
ほかの二人はまだ寝ているようだ。
夜明け前の山頂に出向いてみると朝の光が中央アルプスの山頂を赤く染め始めていた。なんと美しい光景なのだろうか。この朝を迎えられなかった先生のことが頭の中をよぎった。




ここが林道入り口(山頂まで一本道に近い)

山頂の小屋


恵那山方面に「ヤコブの梯子」が見える


小屋の中にある標識

宴会の始まり

酒・酒・酒

小屋の内部は綺麗(もちろん旅立ち前)

山頂は広場のようでナナカマドの赤い実が綺麗


東方には仙丈ヶ岳と北岳


夜明けの山頂で撮影会


名残惜しいが山頂での最後の景色





陣馬形山からの中央アルプスの展望、左の鉄塔は防災無線用



陣馬形山から南アルプスの展望(鋸岳、仙丈ヶ岳、白根三山、赤石岳方面)


小屋--(数分)--山頂












****大嶺山****


陣馬形山を下山して先生の通夜がある群馬県太田市に18時までに行かなければならない。
しかし、帰りの駄賃にもう一山登って置くことにする。
こんな時は、最近2400座登頂の実績を持つ旅人さんの的確なアドバイスで、帰路の林道途中にある大嶺山に登ることにする。竜東地区国営治山記念碑の建つ場所に駐車する。旅人さんは登っているからこの場所で待機するという。

そこで登頂数3000座の猫爺と二人で登ることにした。
猫爺はここで最新型のガーミンのGPSを披露。ついにe−trexタイプを見限ったようだ。うらやましいが、とても手が出るような値段ではないので、無関心を決め込む。しばらくは快適な林道を歩き、すぐに左の鉄塔を目指して斜面を登るそしてわずかに歩くと道の横に三角点が設置されていた。しかし、私のGPSは山頂に着いたことを表示しない。猫爺のものは正確なようだが、購入して何年も経つ型落ちのGPSは傍にある高電圧鉄塔が影響しているのかもしれない。

この付近は赤松が多く、マツタケ山となっているらしい。赤いテープが張り巡らされて「止山」の表示もある。この広大な土地を監視するのは大変な労力とストレスがあると感じた。


下山後、高速道を辿り、途中で食事休憩を取って14時に自宅に到着。
通夜には充分間に合う時間であった。




林道に車を置いて登り始める

送電鉄塔から中央アルプス

ここは松茸山なのだろう(見ているぞ)

山頂三角点



林道10:18--(.09)--10:27鉄塔--(.03)--10:30山頂10:40--(.11)--10:51林道









この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)




群馬山岳移動通信/2011