林道通過が最高の試練「鉢盛山」
登山日2023年7月22日



反射板のピークからの展望 御嶽山と焼岳くらいしかわからない

鉢盛山(はちもりやま)標高2447m 長野県東筑摩郡・木曽郡・松本市

鉢盛山は日本300名山のひとつで標高は2447mもあるのだが、とにかく地味な感じを受ける。登山口となる場所までは、林道を利用するのが最もお手軽だ。しかし、林道の入り口は施錠され、鍵は管轄する朝日村に一週間前までに申請することになっている。何か面倒な感じを受けたが、実際には実に合理的な方法だと思った。何しろ、林道となると自然保護や、事故の時の責任問題を理由に通行禁止にしている。しかし、実際には料金を徴収したり、関係者が自由に出入りしているのだから、何とも納得いかないときがある。この鉢盛山林道は、料金無料で申請さえすれば鍵を貸してもらえるということなので、登山者にとってはありがたい。申請用紙をダウンロードしてメールに添付して送信するだけの簡単な方法だ。

7月22日(土)
林道の鍵が用意してあるとのことで、AYTマルチメディアセンター・村立朝日村図書館に立ち寄る。内部に入るとプラスチックケースの中に、あて名の書かれてある封筒が入っていた。自分のものを取り出して中を確認すると、林道通行許可証と鍵が入っていた。さらに林道整備の協力金として500円のお願いが入っていた。ともかく鍵を無事に入手できたことで気持ちが楽になった。林道入り口には鉄柵がありしっかりと南京錠が鎖につながれていた。それにしても物々しい表示がいっぱいで「立ち入り禁止」の表示がいっぱいだ。ここからは長い林道のドライブとなる。林道の路面状態は決して良いとは言えない。尖った石も多くバーストの危険性もあるし凸凹もあるから、スピードは20km/hr以上は出せない。また、崩落している場所もあり慎重に走行せざるを得ない。この分でいくとこの林道はいずれ通行不能となることも十分に考えられると思う。ゲートから約10キロ、40分かけて登山口の駐車場に到着した。駐車場にはすでに1台の車が駐車していたが、すでに出発しているらしく人影は見られなかった。


鍵の受け渡し場所

意味不明の人形

この箱の中に鍵が入っている

入山ゲート通行許可書と鍵

物々しい表示

南京錠

林道は河原の中のようだ

駐車場


そして、5分ほど経過したときにワンボックスと、軽自動車が3台相次いで到着した。次々に人が降りてきて総勢8人ほどになった。今日は団体登山と一緒になってしまったのかとがっかりした。その団体はどうやら普通の登山客とは違うことを感じた。その中の一人に聞いてみると、8月6日に行われる「鉢盛山登山マラソン」のための整備に来たのだそうだ。よく見れば各自それなりの道具を持っておりやる気満々である。この人たちが出発してから、ゆっくりと支度をして出かけることにした。

登山口は駐車場から少し戻ったところにあり、いきなりの急登から始まる。先ほどの人たちが整備したのだろう、道脇の笹が刈り取られていた。やがて4人ほどの草刈り隊を追い越して先に進んだ。それにしてもこの整備には刈払い機を使わずに手作業で刈り取っている。効率が悪いだろうと思ったが、朝日村のほうから急斜面なので使ってはいけないとの指示が来ているのだそうだ。まあ、事故の責任問題を考えると仕方ない点はあるのだろう。


登山口

ホタルブクロが至るところにあった

笹に覆われた道

笹に覆われた道

2169m


この登山道は急登の連続で展望もなくひたすら登るだけである。それも直登に近いルートだが、最短距離で上部に向かうには適切かもしれない。一切の妥協もなく標高2169mの尾根に登り上げた。ここには草刈り隊の別部隊4人が休んでいた。ここには丸太でできたベンチがあり、休むには適している。聞けばここからは八ヶ岳が見えるそうだが、今日はあいにくと雲に覆われて見ることはできなかった。ここにいた草刈り別部隊は男性2人、女性2人の構成でしばし話をさせてもらった。

尾根からの道は今までの急登とは違ってなだらかに続いている。しかし相変わらずの樹林帯で展望は全くない。また笹も少なくなり登山道も広く感じるようになった。山頂に近くなると樹林が疎らとなり「権現の庭」に到着。ここはわずかながら湿地となっておりワタスゲの綿毛が風に揺れていた。


ちょっと快適になる

作業道具箱

表土が流れ荒れている

権現の庭

鉢盛山荘


さらに進むとプレハブ作りの「鉢盛山荘」に到着。この鉢盛山荘は緊急時以外利用できないということらしい。ここからちょっとした急登の道を登ると鉢盛山山頂に到着だ。山頂には立派な一等三角点、方位盤が置かれてあったが、周囲は樹林に囲まれて、景色は全く見ることはできない。登山口から山頂までほとんど展望のないルートなので、地味なコースが苦にならない人向けと言うことになる。


モミジカラマツ

一等三角点

オトギリソウ

ヨツバヒヨドリ


山頂から少し離れた場所に反射板の設置された場所があるのでそちらに行ってみる。巨大な反射板が2基設置されて周囲は草地となっていた。展望がよさそうだが、遠くの山は雲に隠れてしまっている。誰もいないのをよいことに、大汗で濡れた衣服をフェンスにかけて乾かした。持参したキュウリと梅干をかじりゆっくりと腰を下ろして休んだ。そのうちに草刈り隊の3人が到着し、この山の主と言われる男性がそのあとからやってきた。かすかに見える山を指しながら、焼岳、御嶽山・・・、と説明してもらったが雲がかかっていてはいまひとつ解り難かった。その後も話の仲間に加えていただき楽しい時間を過ごさせていただいた。


マイクロ反射板

フェンスで乾かす

雨量観測所



鉢盛山は日本300名山と言うことで期待を持っていたが、実際は地味な山で林道ドライブが核心と言った印象だった。しかし、この山は自分にとっては決して嫌いではない山であることは間違いない。機会があれば静かな山旅と今度は大展望を楽しみたいと思った。さらに朝日村と言う人口が約4500人というこの村をゆっくりと歩いてみたいと思う。


登山口08:30--(1.24)--09:54尾根2169m10:04--(.52)--10:56鉢盛山荘--(.08)--11:04鉢盛山12:20--(.39)--12:59尾根2169m13:11--(.34)--13:45登山口


群馬山岳移動通信/2023



この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)





林道を緑色で表示