静かな百名山「恵那山」 
登山日2017年7月7日


恵那山山頂(三角点峰) 櫓に昇っても展望は得られない

恵那山(えなさん)標高2191m 長野県阿智村/岐阜県中津川市

恵那山は日本百名山でありながら、あまり評判が良くない。何しろ展望が得られないことが大きな要因なのだろう。それならこの梅雨の季節に登るのも悪くは無いと思った。群馬方面から高速道路で行こうとすると、上信越自動車道で更埴JCまで北上し、長野自動車道から中央自動車道と乗り継ぐしかない。おまけに登山口が目前の園原ICは、東京方面から向かうと降りることが出来ない。そこで佐久ICで一旦降りてから、新和田トンネルを抜けて諏訪湖に行くのが金額的にも時間的にも有利だ。

7月7日(金)

わざわざ飯田ICで降りてから、園原IC入口の駐車余地で車中泊とした。ここは静かで街灯もありゆっくりと眠ることが出来た。4時に起床して身支度を整えて、カップラーメンを食べてから登山口に向かう。登山口といっても道路状況から、ずいぶんと手前にある駐車場に停めることになる。駐車場は二つに分かれていて十分な広さがある。登山口に近い駐車場には2台の車が停車しており閑散としていた。山口ナンバーの車は人の動きがあるが、松本ナンバーの軽ワゴン車は人気が無い。
登山口にある登山ポストに登山届を投函したが、長い間回収された形跡が無く満杯に近い状態だった。以前にも書いたが、個人情報のカタマリである登山届を、悪意を持った人が手にすることだってある。施錠できるポストの設置が望ましいと痛感する。ちなみに私は、帰りに登山届は自分で回収することにしている。もっとも登山道がある有名な山であればの話だが。
林道は法面からの崩落があり、大きな石が路上に転がっていた。本谷川に沿って続く林道は川の流れの音が聞こえるだけで静かなものだ。
30分ほど歩くと、沢側に目立たないような標識があり登山口と表示されている。道は沢に架けられた橋を渡って対岸に行く。この橋は強度がちょっと危なっかしい。体重が大きい私はひやひやしながら渡り切った。また増水時は注意が必要だろう。沢を渡り切るといよいよ登山道らしくなってくる。それもかなりの急登で朝の清々しさが残っていても汗っかきの私はいきなり汗が噴き出してくる。
コアジサイの花が咲く道を息を切らしながら登って行く。それにしても静かな山でこれが百名山なのだろうかと疑いたくなるようだった。カラマツの林の中の道は展望もなく、自分との対話をしながら登るだけだ。途中には標識があり合目数が書いてある。一つの合目はおおよそ25分程度なので、4時間程度で山頂に到着する予定だ。


登山口のゲート

隧道を抜けるとすぐに登山口

登山口は地味だ

本谷川に架かる橋

コアジサイ

樹林が時折開ける


6合目を過ぎたあたりで、この広河原コースで一番の展望を得られた。しかし木曽駒、空木といった有名な山しかわからない。その先に刈り払いがあり、噴煙を噴き上げる御嶽山が見える。樹林が途切れた場所は笹原となっており、笹に隠れて道がわからなくなる場所もあった。こんな所は段差や倒木で転倒することもあるので慎重に歩くことにする。


木曽駒

中央アルプス

御嶽山

キュウリと梅干し(熱中症対策)

合目数を表示


9合目を過ぎるあたりで女性2名が降りてきた。二人の話では山頂の避難小屋に一泊したとのことだ。ためしに展望のことを聞いてみるが、何も見えなかったという事なので、テンションが幾分下がってしまった。
頂上の一角に到着して直角に曲がり、進むとほどなく一等三角点のある山頂に到着した。ここには櫓があり登ってみたが樹林に阻まれて何も見えなかった。この三角点の標高は2190.3mなので、一般的に言われている2191mではない。この山頂には恵那神社の本宮があるが、ちょっと荒れている感じを受けた。


三角点峰の櫓

恵那神社本宮

木道もある



ドウダンツツジの咲く道をほぼ水平に進むと木道も現れて、整備されている感じがする。立派なトイレを通過すると、赤い屋根が目立つ避難小屋に到着した。小屋の中は清潔でよく管理されていた。荷物を置いて小屋の裏にある岩に登ってみる。ここは少しは展望があるが、この付近の山に疎いもので山座同定はできなかった。小屋の屋根を俯瞰すると、屋根は最近塗り替えたのだろうか?目に痛いほどの鮮やかさだ。さらに奥に進んで2191mの標高点を見に行くことにする。しかし、目印らしきものは無く藪があるだけだった。とりあえずその場所に立てたという事で、避難小屋に戻ることにした。


避難小屋

避難小屋内部

小屋の裏の岩場からの展望

小屋を俯瞰する

このあたり2191m

湯ったりーな昼神


避難小屋に到着すると男性が休んでいた。駐車場にあった山口ナンバーの人だった。なんでもこうやって山を放浪して過ごしているという。今度帰るのはお盆のころだという事だ。虫がうるさいのでこの人と小屋の中に入ってそれぞれに早い食事を済ませて1時間以上過ごしてしまった。この間にやってくる登山者は無く、静かな百名山を満喫?することが出来た。

下山はこの人と終始一緒に帰ることとなった。驚いたのは途中で会った女性二人の登山者に三合目付近で再び遭遇したことだった。かなりのゆっくりペースだと感じた。
往路では気が付かなかったが、林道にはキイチゴがふんだんにあり、それを食べながら駐車場に向かった。

帰りは「湯ったりーな昼神」で入浴し、4時間かけて自宅に戻った。



駐車場04:45-(.24)---05:09登山口--(2.54)--08:03山頂08:11--(.17)--08:20避難小屋09:54--(1.56)--11:50登山口--(.26)--12:16駐車場

群馬山岳移動通信/2017




この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平16総使、第652号)