登山口探しに苦しむ「大天幕ノ頭(雨降山)」
                                        登山日2017年1月22日


安曇幹線2号線223号鉄塔から見る高反山

大天幕ノ頭(だいてんまくのかしら) 標高1026m 群馬県多野郡


久しぶりに西上州の山に登りたくなった。未登の山を眺めるとまだ多くの山が点在している。その中には名前が知れたものや、一部のガイドブックに記載があるものなどがある。最近は運動不足が顕著となり、身体が鈍っているのを実感している。そこで落穂拾い的に短時間で登れる山を選んでみた。

1月22日(日)

天丸山に登るときに寄り道して「社壇ノ頭」に立ったが、その先にある「大天幕ノ頭」は登り残してしまった。そこでこの山に狙いを定めて計画を立てた。南牧村から塩の沢トンネルを抜け上野村に入る。そこから神流町方面に向かうと乙父トンネルに到着する。登山口はこのトンネルの上なのだが、どうやってそこまで行ったらよいのかわからない。トンネルを抜けて上野村きのこセンターに向かうと、その施設の脇に細い道がある。道は雪が積もっており、軽トラックの駆動を4駆に切り替える。何とか進んでいくが、急傾斜の道となりこれ以上進むと危険と感じた。ましてきのこセンターに出勤する人たちが駐車場で関心を持って見ている。ちょっとバックして方向転換しこの道はあきらめることにした。そのほかいろんな道を試したが、雪のために断念するしかなかった。結局、軽トラックで乙父トンネルの上に行くのは無理と判断せざるを得なかった、そこで乙父トンネルの手前300m付近の路肩に駐車してそこから歩き出すことにした。

車がめったに通過しない国道を渡り、法面につけられた道を登る。墓地を通過し小さな畑を過ぎると道は藪になった。棘のついたツルがはびこっているのが閉口だ。何とか藪を抜けるとそこは別世界の農地が広がっている。上野村にこれだけの農地があることは意外だった。まして灌漑用の農業用水まで引かれておりこの場所に対する力の入れ方がわかる。標識には「小敷平A」と書かれていた。
畑の中を突っ切る道を端まで辿ってみることにする。端まで行くと水道施設があり、その先は例のきのこセンターに向かう道が続いている。再び戻りながら山を眺めると、鉄塔が尾根の途中に立っているのがわかる。あの鉄塔まで登りあげるのだと、おおよその見当をつけてルートを頭の中に入れる。「小敷平A」の標識の前に立ち、鉄塔巡視路の黄色い標柱に従って歩くことにする。畑の周りは電気柵のコードが張り巡らされて、野生動物の被害に悩んでいる様子が分かる。


駐車地点

この法面に付けられた道を登る

登りあげると車道

そして小敷平Aの標識

あの鉄塔まで登る

鉄塔巡視路の標柱


とりあえず黒部幹線586号鉄塔に到着する。送電線の下は刈り払いがされているところを見ると、この鉄塔は運用中なのだろう。そばには黄色の標柱があり、さらに224号鉄塔に向けて矢印が付いていた。道形ははっきりとしており雪とその下の落ち葉の中に階段状の人工物も見られる。そして思いがけない人工物に出くわす。「新農構 畑地かんがい施設 調整池」と書いてあるが、池では無くコンクリートでできた貯水槽だ。これだけ大規模な開発を行った事業はいったいなんだったのだろう。近くに沢などがあるようには見えないので、この水源は何処なのだろうかと疑問に思った。巡視路は明瞭な尾根を東に回り込み山腹を巻きながら登っていく。もし、巡視路が無かったなら尾根を直登するルートを選択したに違いない。

鉄塔は山の景観にそぐわないと当初は感じていたが、今となってはこの巡視路のおかげで山に登れるのだからありがたいことなのかもしれない。雪と露土が繰り返される道なので、今日はスパイク長靴を選択して正解だった。登山靴だったらアイゼンの装着だけでかなりの時間を費やしていたに違いない。

やがてバンザイ鉄塔が間近に迫ってきた。雪の斜面をトラバースしながらその鉄塔に到着する。安曇幹線2号線223号鉄塔でその周囲は伐採がされて、今回の山行で一番の展望だった。久しく忘れていたこの周囲の山々を記憶を辿りながら展望し山の名前を口に出して見た。

鉄塔からは巡視路が無いので尾根を忠実に辿って上部に向かっていく。ところがここからの尾根はクマの生息域そのものだった。見上げると頭上の梢は熊棚で覆い尽くされている。木の幹は熊の爪痕がびっしりとつけられている。この時期は熊は活動していないと思うが、念のために用意してきた熊鈴2個をザックに括り付けた。


かんがい用貯水池

223鉄塔

223鉄塔から上信国境を見る

熊棚がいっぱい


単調な尾根は展望もなく、ただ背中の鈴の音を聞きながら登っていく。目の前から昇ってくる太陽がまぶしいので下を見ることが多くなっていた。突然目の前に林道が出現した。なんとこんなところまで林道が来ていたのだ。この林道を辿れば楽に進むことが出来るかなとも考えたが、どこにつながっているのかわからないので、踏みこむことは止めて忠実に尾根を辿ることにした。


こんなところに林道が

山頂

三角点

帰路の223鉄塔、ここから直接下降する


岩が多くなってくると山頂が近いと感じるようになった。それほど険しい場所もなくあっけなく三角点の鎮座する「大天幕ノ頭」に到着した。ここからの展望も立木にさえぎられて多くを見ることはできなかった。また不思議なことに山頂標識の類は皆無だった。風が吹き抜ける山頂は寒くひと時もゆっくりとできない。飲食はしないでザックも降ろさず下山することにした。


小敷平A8:22--(.04)--08:26856鉄塔--(.04)?08:30かんがい貯水施設--(.25)--0855223鉄塔--(.35)--09:30大天幕ノ頭09:36--(.17)--09:53223鉄塔--(.16)--10:09小敷平A


群馬山岳移動通信/2017

この地図の作製に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50メッシュ(標高)を使用したものである。
(承認番号 平16総使、第652号)

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